豪雪地帯でも対策を施せば太陽光発電事業は可能なのかーー。その可能性を検証するために青森県弘前市は実証事業を実施しており、このほどその実績を公表した。想定の計画値より16%多い発電量を記録し、豪雪地域でも十分な発電量を確保できたとしている。
青森県西部の弘前市。豪雪地帯に位置する同市はこうした積雪地域への太陽光発電の導入拡大に向け、実証事業を進めている。雪量の多い地域であっても、対策を施せば十分な発電量を確保できるかを検証するのが実証の目的だ。同市はこのほどその実証事業の成果を公表。事前の計画値を上回る十分な発電量を得られたとしている。
実証事業は弘前市が市有地を地元企業のひろさきアップルパワーに提供し、同社が雪国対応型のメガソーラーを設置して発電事業を行うというものだ。弘前市内にある「埋立処分場第一次施設跡地」を活用し、約5万平方メートルの土地に、2カ所に分けててメガソーラーを設置している(図1)。
実証で利用するメガソーラーの積雪対策としては、以下のような施策を施している。まず、太陽電池モジュールはトワダソーラー製の耐積雪仕様製品を選択し、架台も耐積雪仕様を採用。設置高さは約1.8m(メートル)、パネル傾斜30度で設置している。
さらに太陽電池モジュールの結線を、架台1基ごとに行うと下段のみに積雪しても発電量が出ないため、3基を1グループとして上段・中段・下段と横渡りに接続することで発電効率を上げられるようにしている(図2)。モジュール枚数は合計6900枚、総出力1500kW(キロワット)である。
モジュール面に対する積雪状態は監視カメラで監視および記録し、状況に合わせて除雪を行うようにした。積雪以外にも遠隔監視システムで設備の故障や運転状況を検知している。なお、監視システムは地元企業のブルーマウステクノロジーが開発した、配線不要でストリング単位の電流を計測できるシステムを採用している。
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