下水処理場で太陽光発電、汚泥も使いバイオガス発電と水素製造も自然エネルギー(1/2 ページ)

埼玉県は下水処理場を活用した再生可能エネルギーによる発電事業の展開を進めている。新たに2カ所で太陽光発電設備が稼働を開始した。さらに下水処理で発生する汚泥を活用し、バイオガス発電事業や水素製造にも取り組んでいく方針だ。

» 2016年10月05日 11時00分 公開
[陰山遼将スマートジャパン]

 自治体が所有するさまざまな施設に発電設備を導入し、再生可能エネルギーによる発電事業を実施する例が全国で広がっている。既存資産を有効活用し、収益を施設の維持管理費に当てられるといったメリットもある。特にこうした施設の1つとして活用が進んでいるのが下水処理場や浄水場だ。

 埼玉県では所有する下水処理場を活用した再生可能エネルギー事業の拡大を計画している。このほど県内の2カ所の下水処理場に太陽光発電設備の導入が完了し、2016年10月1日から発電を開始した。

 太陽光発電システムを導入したのは「中川水循環センター 」(三郷市)と「小山川水循環センター」(本庄市)の2カ所である。それぞれ施設内の土地を有効活用して発電設備を設置した。中川水循環センターには7952枚の太陽光パネルを導入し、出力は1.9MW(メガワット)、小山川水循環センターは7222枚を設置し出力は1.8MWである(図1)。

図1 導入した2つの太陽光発電システムの概要(クリックで拡大)出典:埼玉県

 2カ所の下水処理場に導入した太陽光発電システムでは、年間に合計で400万kWh(キロワット時)の発電量を見込んでいる。これは一般家庭約800世帯分の年間消費電力量に相当する量だ。年間2000トン相当の温室効果ガス削減効果も見込む。発電した電力は再生可能エネルギーの固定買取価格制度を利用して売電する。

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