再生可能エネルギー50万kWへ、関西電力が3カ所目の風力発電に着手自然エネルギー(1/2 ページ)

関西電力が大分県で風力発電の開発に乗り出した。海に近い半島の尾根に最大16基の風車を設置する計画だ。発電能力は3万2000kWを想定している。関西電力は風力を含めて再生可能エネルギーの電源を2030年までに50万kWに拡大する方針で、国のCO2排出量の削減目標に貢献していく。

» 2016年10月07日 09時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]
図1 大分県の市町村。出典:大分県企画振興部

 関西電力が風力発電所の建設を予定している場所は、大分市と臼杵市(うすきし)の市境にある(図1)。海流の速い豊後水道に突き出た佐賀関半島の中央を貫く長い尾根だ。「関あじ」や「関さば」で知られる地域で、陸上・洋上ともに風況に恵まれている。

 NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の風況マップによると、関西電力が風力発電所を建設する尾根の一帯は年間の平均風速が6メートル/秒を超える(図2)。一般に風力発電は平均風速が5.5メートル/秒以上の場所が適している。

図2 佐賀関半島の風況。黄色の地域は年間平均風速6メートル/秒以上。建設予定地は中央やや右の境界線の周辺。出典:NEDO

 計画では尾根に沿って最大16基の大型風車を設置する。風車1基あたりの発電能力は2000〜3000kW(キロワット)で、全体では最大で3万2000kWを予定している。建設に先立つ環境影響評価の手続きを10月4日に開始した。順調に行けば2019年に手続きを完了して工事に入ることができる。運転開始は2021〜2022年になる見通しだ。

 関西電力は発電量を検討中だが、風力発電の標準的な設備利用率(発電能力に対する実際の発電量)を20%として計算すると、年間に5600万kWh(キロワット時)の電力を供給できる。一般家庭の使用量(年間3600kWh)に換算して1万5600世帯分に相当する。臼杵市の総世帯数(1万5000世帯)を上回る規模になる。

 これまでに関西電力はグループ会社の関電エネルギーソリューションを通じて2カ所の風力発電所を建設・運営している。兵庫県の淡路市で「淡路風力発電所」(6基、1万2000kW)を2012年に運転開始したのに続いて、愛知県の田原市で「田原4区風力発電所」(3基、0.6万kW)を2014年に運転開始した。いずれも海に近い風況の良い場所である(図3)。

図3 「淡路風力発電所」の風車と全景(上)、「田原4区風力発電所」の所在地と全景(下)。出典:関西電力
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