関西電力は古くから稼働している水力発電所を含めると、グループ全体で165カ所に再生可能エネルギーの電源を展開している。発電能力を合計すると833万kWになり、年間に138億kWhの電力を供給できる(図4)。
2016年4月に策定した「関西電力グループ中期経営計画」の中でも、2025年に向けて原子力の再稼働と合わせて再生可能エネルギーの開発に積極的に取り組んでいく姿勢を明確にした(図5)。従来からの大規模な水力発電所を除いた再生可能エネルギーの電源(太陽光・風力・中小水力・地熱・バイオマス)だけで2030年に50万kWの規模に拡大する目標だ。
風力では秋田県の能代港・秋田港の沖合で計画中の洋上風力発電にも共同出資者として参画した。バイオマスでは兵庫県の朝来市(あさごし)に木質バイオマス発電所を建設中で、2016年12月に運転を開始する予定だ(図6)。地元の森林組合と連携して、地域の未利用木材から発電用の燃料チップを製造する工場も併設する。
関西電力は再生可能エネルギーの拡大を通じてCO2(二酸化炭素)の排出量を削減する狙いだ。電力業界全体で2030年のCO2排出係数(電力1kWhあたりのCO2排出量)を0.37kg-CO2/kWhまで低減する目標を掲げている。関西電力のCO2排出係数は2015年度に0.50kg-CO2/kWhだったことから、2030年までに26%減らす必要がある(図7)。
同様にCO2を排出しない原子力発電所を再稼働できれば目標達成に近づくが、想定どおりに進んでいないのが現状だ。引き続き原子力を取り巻く環境は厳しく、CO2排出量の削減には再生可能エネルギーの開発が欠かせない。
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