パワコンの点検手順が一目瞭然、「拡張現実」で技術者を支援太陽光

田淵電機は「CEATEC JAPAN 2016」で、太陽光発電所のパワーコンディショナーの維持管理に活用できるをAR(拡張現実)システムを参考出展した。タブレット端末上で、映像に重ね合わせるようにして作業手順や稼働状況などを確認できるシステムで、現場作業者の業務を支援できるという。

» 2016年10月13日 11時00分 公開
[陰山遼将スマートジャパン]

 田淵電機は「CEATEC JAPAN 2016」(2016年10月4〜7日、幕張メッセ)において、AR(拡張現実)技術を活用した太陽光発電所のパワーコンディショナー(PCS)の維持管理システムを参考出展した。タブレット端末とAR技術を活用することで、PCSの点検や維持管理を行う現場作業者の作業負荷を軽減できるという。

 田淵電機は太陽光発電所向けの遠隔監視システム「TABUCHI-cloud」を提供している。今回展示したAR技術を活用した維持管理システムは、同製品と組み合わせて利用するというコンセプトだ。

 使い方は以下の通り。まず対象のPCSにAR用のマーカーを貼り付ける(図1)。このマーカーをタブレット端末のカメラと専用アプリケーションを使って認識し、PCSを特定する。するとアプリケーション上に、TABUCHI-cloudで収集・集積しているPCSの稼働状況や故障履歴などの情報が表示される(図2)。

図1 PCSに貼り付けたARマーカー(クリックで拡大)
図2 タブレット端末上の画面(クリックで拡大)

 このシステムにおいて特にAR技術が生きるのは、具体的な点検作業を行うシーンである。「ネジを外す」「扉を開ける」といった作業手順を、タブレット端末で撮影しているPCSに重ね合わせるように表示させられる。これにより、PCSの点検保守の経験が少ない作業員でも、迷うことなく作業を進められる。作業員に遠隔地から指示を伝えるといった使い方も可能だ。現在は紙に記入して作成する場合が多い点検内容の作業報告書を、タブレット端末上から直接入力できるようにし、作業を効率化するといった狙いもあるという。

 太陽光発電所の運用保守の重要性が高まる中、こうしたPCSの点検や維持管理業務は増えている。一方で熟練技術者を常に確保するのは難しいという人材面での課題がある。今回田淵電機が披露したARシステムは、こうした現場の課題をターゲットにしたものだ。今回ではあくまでも参考出展であり、製品化の予定は未定。今後、顧客などへのヒヤリングを進め、販売の可否を決める方針だ。

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