太陽光発電パネルの光害はARで防げ、反射光害を予測する装置を開発太陽光

建築/太陽光発電向け計測機器開発のフルアイズは、太陽光パネルの反射光害を予測できる装置を開発し、2016年11月に施工業者向けで発売する。

» 2016年09月26日 15時00分 公開
[長町基ITmedia]

 建築/太陽光発電向け計測機器の開発や販売を行うフルアイズ(神奈川県伊勢原市)が今回開発した「リフレクさん」は、AR(拡張現実)による確認機能などを用いて反射光を発生する状況を予測することで、住宅用の太陽光パネル設置に伴う近所迷惑を軽減することにつながる。

 太陽光が太陽光パネルの反射により、隣家内に差し込み、そのまぶしさで迷惑を掛けてしまうことがある。これは反射光害と呼ばれており、設置した太陽光パネルを撤去することになったり、最悪隣人と裁判になったりする事例なども起きているという。

 フルアイズによると、これまで、反射光害を予測するには、手間と時間をかけて周辺の家屋を測量し、PC上の3次元CADシステムでシミュレーションするしかなかった。そのため、調査を省いて大まかな経験で設置の可否が判断されることが多く、その結果反射光害を起こして近隣に迷惑を掛けたり、逆に設置できる場所への設置を諦めたりするケースが起きていた。

 同装置を使うと、屋根に上ってから数分程度の操作で簡単に反射光害の可能性がチェックできる。少ない手間で太陽光パネルの反射光害による近所迷惑をなくし、問題のない場所へは安心して設置できるようになる。現場ですぐに結果を確認でき、なおかつ詳細に調べることができる反射光害予測装置は世界でも初めて(フルアイズ調べ)。特許も出願中だ。

ARによる確認機能とグラフのチェック機能

 リフレクさんは大きく2つの機能、ARによる確認機能と、グラフで詳細をチェックする機能を持つ。まず、屋根の方位や設置予定のパネル全体の大きさなど必要最小限の情報を入力後、屋根の上に装置を置いて周りを見渡すことで、周囲への反射状況をARで確認できる。AR表示では、撮影中の周囲の情景のうち、反射光が入射する領域に色がついて表示される。緑色で表示されるエリアには短時間だが反射光が入射し、黄色→赤と色が変わるほど入射する時間が増える。

 さらに対象の窓を撮影してその枠を指定すれば、反射の状況がグラフになって表示される。グラフでは、1年間のうち太陽光パネルの反射光が対象の窓に入射する月日と時刻を知ることが可能だ。また、1日で最も長い時間入射する日の時間と、1日当たりの平均入射時間、そして設置の危険度が表示され、問題がなければそのまま太陽光パネルを設置できる。また、微妙なケースであっても隣人にグラフを見せて「いつごろ、どのくらいの時間反射光が入るのか」を説明できれば、設置を承諾してもらえる可能性が高まる(図1)。

photo 図1 (左)リフレクさんのCGイメージ、(中)ARによる確認機能、(右)グラフによる確認機能(クリックで拡大)出典:フルアイズ

 装置の発売に先駆けて、同社はモニター企業様/施主様の募集を数量限定で開始した。対象は住宅向け太陽光発電の施工業者と、自宅に太陽光発電の導入を考えている施主(施主は契約した施工業者にリフレクさんの使用を委託)。応募した企業/施主にはリフレクさんの最終テスト版を貸し出す。

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