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» 2016年10月20日 07時00分 公開

蓄電・発電機器:日本の太陽光発電を増やす、市場構造を変えてコスト低減 (2/3)

[石田雅也,スマートジャパン]

複雑な下請構造が高コストをもたらす

 報告書では太陽光発電システム全体の価格の内訳を欧州と比べたうえで、高コストの要因になっている市場構造を比較して問題点を浮き彫りにした。非住宅用の太陽光発電システムでは、2年前の欧州の価格と比べても2倍近い水準にある(図4)。太陽電池モジュールから設置工事まで、導入に必要な部材や施工の面で大幅なコストダウンが急務だ。

図4 非住宅用の太陽光発電システムの価格比較。BOS:周辺装置、PCS:パワーコンディショナー。出典:資源エネルギー庁

 研究会が分析した市場構造を見ると、日本特有の下請構造がコスト競争力を弱めていることがわかる。EPC(設計・調達・建設:Engineering、Procurement、Construction)を担当する事業者が元請になって、部材を調達しながら施工を下請に回す(図5)。階層が増えるほどコストが高くなる仕組みになっている。

図5 非住宅用の太陽光発電の市場構造。日本(上)、欧米(下)。それぞれ画像をクリックすると拡大。EPC:設計・調達・建設。出典:資源エネルギー庁

 一方の欧州や米国では、発電事業者がEPCやO&M(運用管理・保守:Operation & Maintenance)を含めて、太陽光発電事業の全体を手がける垂直統合モデルへ移行し始めている。EPCやO&Mの専門事業者も多く、競争によるコストダウンが進んでいく。日本でも複雑な階層構造から早く脱却することが求められる。

 こうした違いは住宅用の太陽光発電システムでも同様だ。導入にかかるコストは2年前の欧州と比べて1.8倍で、特に太陽電池モジュールの高さが際立っている(図6)。その原因は住宅用の太陽光発電システムの流通構造にあることを研究会は指摘した。

図6 住宅用の太陽光発電システムの価格比較。BOS:周辺装置、PCS:パワーコンディショナー。出典:資源エネルギー庁

 日本の住宅では新築の場合には、ハウスメーカーが調達から施工まで一括に担当する。ところが既築の住宅になると、複数の販売代理店を経て、最終的に地場の工務店が施工を請け負うケースが多い(図7)。その結果、太陽電池モジュールやパワーコンディショナーなどの部材が割高になってしまう。

図7 住宅用の太陽光発電の市場構造。日本(上)、欧米(下)。それぞれ画像をクリックすると拡大。TPO:第三者所有。出典:資源エネルギー庁

 これに対して欧州や米国では直販に近い販売モデルが主流だ。初期費用が不要な「第三者所有(TPO:Third-Party Ownership)モデル」やリース方式の導入も広がってきた。日本でもTPOモデルで太陽光発電システムを提供する事業者が増え始めている。旧来型の市場構造から新しい販売モデルへ移行することで、欧米並みの水準まで導入コストを引き下げることが可能になる。

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