千葉県の鋼材販売会社が社員寮に小型の風力発電機を導入した。長方形の羽根3枚が垂直軸のまわりを回転して発電する方式で、発電能力は3kWある。発電した電力は社員寮の給湯器や水洗トイレの浄水装置で利用しながら、災害時には地下水をくみ上げるポンプを作動させて生活用水を確保する。
千葉県の北東部に位置する旭市は太平洋に面していて、東日本大震災で津波の被害を受けた地域の1つだ。旭市に本社がある鋼材販売業の松山鋼材は災害時に生活インフラを確保するため、市内に新築した社員寮に小型の風力発電機を導入した(図1)。
社員寮の敷地内に鉄塔を建てて、その上にシルフィード社の小型風力発電機「VAS-3.0」を設置した。この風力発電機は全体の高さが約3.1メートルで、垂直軸を中心に3枚の長方形の羽根が回転して発電する(図2)。羽根の回転直径は約2メートルの範囲に収まるため、小さな設置スペースでも導入しやすい。集合住宅のほか、農業用のビニールハウスや小規模の工場などの電力源として利用できる。
発電能力は3kW(キロワット)で、風速が11メートル/秒の状態で1kWの電力を供給できる。起動には2.5メートル/秒の風速が必要になり、5メートル/秒以上の風で発電を開始する。強風でも過回転を防止できるため、通常の風力発電機のように強風時に運転を止める必要がない。海の近くや高原などの強い風が吹く場所に向いている。
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