太陽光パネルなどを水上に浮かべる「フロート架台」の大手メーカーである仏シエル・テールが、日本国内での事業拡大を進めている。これまではフロート架台の販売・施工のみを行っていたが、このほど徳島県で自社案件としては初の水上メガソーラーを建設した。同発電所は徳島県内でも初の水上メガソーラーとなる。
農業用のため池や、貯水池の水面を活用した水上メガソーラーが全国に広がっている。2016年10月12日から、徳島県内では初となる水上メガソーラーが稼働を開始した。阿波市阿波町の字東柴生(あざひがししばう)にある伊沢池の水面を活用した「伊沢池水上太陽光発電所」だ(図1)。
同発電所の開発・運営を行うのは、太陽光パネルなどを水上に浮かべるフロート架台メーカーの仏シエル・テール・インターナショナルの日本法人シエル・テール・ジャパンだ。伊沢池を管理している阿波中部土地改良区から水面を借りて太陽光発電設備を設置した。
池の水面面積は12ヘクタール。このうち約56.7%に相当する6.8ヘクタールに太陽光パネルを南向きに浮かべた。270W(ワット)の京セラ製のパネルを2340枚設置しており、発電所の総出力は631kW(キロワット)である。発電した電力はすべて中国電力に売電する計画だ。年間約61万kWh、170世帯分に相当する発電量見込んでいる。
同発電所はシエル・テール・ジャパンが自社で開発および運営を行う初の水上メガソーラー案件になる。同社は以前から独自開発のフロート架台「Hydrelio」を日本国内で展開している。Hydelioは高密度ポリエチレンの太陽光パネルを載せるメインフロートと作業用通路などに使うサブフロートに分かれたシステムとなっている。アンカーを利用して固定する仕組みだ(図2)。
Hydelioは既に日本の水上太陽光発電所向けに2016年9月時点で、累計出力41MW(メガワット)相当の供給実績がある。2017年度は70MWの新規受注を見込んでいるという。同社ではこうしたフロートの販売・施工などの既存事業の拡大を図るとともに、今回の伊沢池水上太陽光発電所を皮切りに、自社運営の太陽光発電事業も拡大していく計画だ。直近では同じく阿波市内で合計3カ所のため池を活用した水上メガソーラーの建設計画がある。
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