兵庫県の再生可能エネルギーは太陽光とバイオマスを中心に急速に拡大している。固定価格買取制度の認定を受けて運転を開始した発電設備の規模を見ると、太陽光とバイオマスともに全国で第5位になった(図9)。今後は風力や中小水力も増えていく。
小水力発電の分野では、神戸市が水道のネットワークに発電機を導入するプロジェクトを推進中だ。神戸市は起伏に富んだ地形のため、土地の高さごとに配水池を設けて水を供給している。配水池をつなぐ送水管に発電機を設置すれば、高低差によって生まれる水のエネルギーで発電できる(図10)。
市内に50カ所以上ある配水池に展開することを目指して、2016年5月に1カ所の配水池に発電機を導入して評価を開始した。ダイキン工業が開発したマイクロ水力発電システムを採用している。水道管に組み込んで設置できるシステムで、水の流れによってポンプの水車を逆回転させて発電する仕組みだ(図11)。
発電能力は24kWになり、年間に21万kWhの電力を作ることができる。一般家庭の60世帯分に相当する。この発電システムは遠隔から操作できて、維持管理を省力化できるメリットもある。発電量の評価と合わせて運用コストの低減効果を検証しながら、今後の導入拡大につなげていく。
さらに神戸市とダイキン工業は発電能力が10kW以下の超小型マイクロ水力発電システムの研究開発にも着手した。配水池から市内の各家庭まで水を供給する水道管には、水圧を調整するためのバルブが各所に設置されている。このバルブを超小型のマイクロ発電システムに入れ替えて、水圧の調整と同時に再生可能エネルギーの電力を増やす試みだ。最初に試作機を開発してから実証実験に入る。
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