再生可能エネルギーを100万kW創出、ため池や水道管でも発電エネルギー列島2016年版(28)兵庫(4/4 ページ)

» 2016年11月01日 09時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]
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洋上風力や水素発電も計画

 風力発電は瀬戸内海に浮かぶ淡路島が中心になる。淡路島では2012年から持続性のある島を目指して「あわじ環境未来島構想」を推進している。島内の自然環境を生かして、エネルギーと農業・食糧の生産を持続させるプロジェクトである。この構想の中で洋上風力発電の開発を目指している。島の西側に広がる洲本市・五色町(ごしきちょう)の沖合が候補地だ(図12)。

図12 「あわじ環境未来島構想」の再生可能エネルギー導入計画。出典:あわじ環境未来島構想推進協議会

 発電事業者の自然電力と地元のマルショウ運輸が共同で風力発電の適地を選定する作業を進めている。約3400万平方メートルの海域を対象に、5MWの大型風車を最大20基、合計で100MWの洋上風力発電が可能な場所を抽出する予定だ。2017年度中に抽出を完了して次のステップに入る。

 淡路島から近い海上にある「神戸空港島」では、全国に先がけて水素エネルギーのサプライチェーンを構築するプロジェクトも進む(図13)。海に囲まれた空港島の立地を生かして、海外から水素ガスを液化して輸入する試みだ。タンカーから液化水素を荷揚げして貯蔵する設備を建設する計画で、2020年度に実証運転の開始を予定している。

図13 「神戸空港島」の全景(上)、海外から輸入する液化水素のサプライチェーン構想(下)。出典:神戸市みなと総局、同環境局

 並行して水素エネルギーの利用面では、空港島と連絡橋でつながるポートアイランドで水素発電のプロジェクトが進行中だ。水素を燃料に利用できるガスタービン発電設備をゴミ処理場の跡地に設置して、周辺の下水処理場やスポーツ施設などに電力と熱を供給する構想である(図14)。

図14 水素ガスタービン発電設備の技術実証プロジェクト(画像をクリックすると拡大)。CGS:コージェネレーションシステム。出典:NEDO

 プロジェクトを推進するNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の計画では、1MW級の水素ガスタービン発電設備を導入する。2018年をめどに運転を開始する予定で、当初は水素と天然ガスを混焼して発電する方法になる。実現すれば国内で初めて大規模な水素発電が始まる。空港島の水素サプライチェーンと合わせて、神戸市が水素エネルギーの先進地域として国の戦略をけん引していく。

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2015年版(28)兵庫:「太陽光発電の勢いが止まらない、ダムや池もメガソーラーになる」

2014年版(28)兵庫:「太陽光や風力から潮流発電まで、エネルギーが持続する環境未来島へ」

2013年版(28)兵庫:「ため池や田んぼでも太陽光発電、2020年までに100万kW創出」

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