バイオマス発電の燃料は海外から、パームヤシ殻で14万世帯分の電力を作る自然エネルギー(1/2 ページ)

福岡県の東部にある港に面した土地に、国内で最大級の木質バイオマス発電所を建設する計画が決まった。東南アジアから輸入するパームヤシ殻を燃料に使って14万世帯分の電力を供給する。小売電気事業者のイーレックスが九州電力グループと共同で2019年10月に運転を開始する予定だ。

» 2016年11月14日 09時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

 木質バイオマス発電所を建設する場所は、福岡県の豊前市(ぶぜんし)にある港に隣接している(図1)。九州電力の電柱を製造するグループ会社が所有する土地で、すぐ近くには石油火力発電所もある。港に面した立地を生かして、海外から輸入するパームヤシ殻(PKS:Palm Kernel Shell)を燃料に使って発電する計画だ。

図1 豊前市の位置(上)、「豊前バイオマス発電所」の建設予定地(下)。出典:イーレックス、九電みらいエナジー、九電工

 発電能力は75MW(メガワット)で、国内の木質バイオマス発電所では最大の規模だ。年間の発電量は5000万kWh(キロワット時)を想定している。一般家庭の使用量(年間3600kWh)に換算して14万世帯分に相当する。豊前市の総世帯数(1万2000世帯)の10倍以上になり、福岡県の全体(230万世帯)の6%にあたる電力を供給できる。

 小売電気事業者のイーレックスと九州電力グループの九電みらいエナジーが共同で発電所を運営する。両社と九電工の3社が出資する「豊前ニューエナジー」が事業主になり、発電した電力を固定価格買取制度で売電する方針だ。PKSなどの一般木質バイオマスで発電した電力の買取価格は24円(税抜き)で、年間の売電収入は12億円を見込める。

 2017年3月に着工して、2019年10月に運転を開始する予定だ。九電工が電気設備工事を担当して、イーレックスが燃料を調達する。PKSと木質ペレットも加えて年間に30万トンの燃料を発電に利用する計画である。

 木質バイオマスの燃料になるPKSは、インドネシアやマレーシアなどで栽培するヤシの種の殻(から)の部分を乾燥させて砕いたものだ(図2)。ヤシの実からパームオイルを抽出した後に出る廃棄物の一種で、燃料に使えば実質的にCO2(二酸化炭素)を排出しない再生可能エネルギーの電力を作ることができる。日本と東南アジアを結んだ地球温暖化対策になる。

図2 燃料のパームヤシ殻(上)、パームヤシの構造(下)。出典:イーレックス
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