バイオマス発電の燃料は海外から、パームヤシ殻で14万世帯分の電力を作る自然エネルギー(2/2 ページ)

» 2016年11月14日 09時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]
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電力の小売事業をバイオマスで拡大

 イーレックスは再生可能エネルギーによる電力の小売事業を拡大するために、発電量が安定しているバイオマス発電所の開発を急ピッチで進めている。すでに2013年から高知県の高知市で木質バイオマス発電所を運転しているほか、大分県の佐伯市で2016年11月中に木質バイオマス発電所の運転を開始する予定だ(図3)。2カ所の発電能力は30MWと50MWで、いずれも港に近い立地を生かしてPKSを燃料に使う。

図3 「イーレックスニューエナジー佐伯発電所」の全景。出典:イーレックス

 新たに豊前市で始まったプロジェクトに加えて、岩手県の大船渡市でも同規模の75MWの木質バイオマス発電所を建設することが決まっている(図4)。太平洋セメントと共同で、港に隣接するセメント工場の構内に建設する。PKSを燃料に使って、運転開始もほぼ同時期の2019年秋を予定している。

図4 イーレックスのバイオマス発電プロジェクト(画像をクリックすると拡大)。出典:イーレックス

 さらに2件の新規プロジェクトを計画中で、4年後の2020年にはバイオマス発電の規模が350MWを超える見通しだ。電力会社の発送電分離が始まる2020年4月に向けて、バイオマス発電による電力を含めて小売事業の規模を1000億円に拡大する中期経営計画を推進していく(図5)。

図5 バイオマス発電事業と電力小売事業の拡大計画(画像をクリックすると拡大)。出典:イーレックス

 一方で豊前市のプロジェクトに共同で参画する九電みらいエナジーも九州地域で再生可能エネルギーの発電設備を拡大中だ。これまでに10カ所のメガソーラーと1カ所の地熱発電所を稼働させたほか、子会社が風力発電所とバイオマス発電所を1カ所ずつ運営している(図6)。合計13カ所の発電能力は112MWに達する。新たに佐賀県の唐津市で28MWの風力発電所を建設する計画も進めている。

図6 九電みらいエナジーの発電所。出典:九電みらいエナジー

 九電みらいエナジーは2016年4月から東京電力の管内で小売事業を始めたが、九州では小売事業に参入しないで再生可能エネルギーの発電事業に注力する。豊前市の木質バイオマス発電所の電力は九州電力に供給する。

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