CO2を排出しない生活は可能か、既存住宅で実証開始スマートハウス(1/2 ページ)

大阪ガスと積水ハウスは既存住宅をリノベーションし、CO2排出量ゼロとゼロエネルギーの達成を目指す実証実験に着手する。実際に人が居住しながら約2年半に渡って行う実証で、太陽光発電システムや燃料電池、空調制御を活用し、省エネと快適性の両立が可能化どうかを検証していく。

» 2016年11月28日 07時00分 公開
[陰山遼将スマートジャパン]

 大阪ガスと積水ハウスは2016年11月24日、共同で既存住宅をリノベーションし、CO2排出量ゼロとゼロエネルギーの達成を目指す実証実験に着手すると発表した。リノベーションした住宅で、実際に人が居住しながらゼロエネルギーを目指す実証実験は国内初になるという。実証期間は2016年12月1日から約2年半を予定している。

 両社ではこれまでも家庭用部門の省エネルギー化を目的に、2011年2月〜2014年5月にかけて住宅に設置した燃料電池・太陽電池・蓄電池を最適に制御し、省エネを図る実証実験を行ってきた。この実証で使用したのは新築住宅だが、3つの電池を活用することで年間を通じてCO2排出量をゼロにすることに成功している。

 この実証に続いて、今回は既存住宅の省エネルギー化を目的に、リノベーション住宅でもCO2排出量ゼロかつゼロエネルギーの達成が可能かを検証していく狙いだ。エネルギーの効率利用だけでなく、居住者が快適かつ健康的に生活を送れるかどうかも重要な検証のポイントになる。

 なお、この実証におけるゼロエネルギーとは、省エネおよび太陽光発電などの創エネにより、年間の一次エネルギー消費量がネットでゼロとなる住宅(ZEH)を意味する。政府は2020年までに標準的な新築住宅で、2030年までに新築住宅の平均でZEHの実現を目指す方針を掲げている。

 実証実験は奈良県北葛城郡王寺町の住宅で行う。軽量鉄骨造2階建、間取りは4LDK(延床面積 138.8平方メートル)で、居住者は3人である。まずリノベーションで窓を真空複層ガラスに交換して、1階床下と2階天井裏に断熱材を追加。これにより断熱性能を約12%向上させた。さらに居室毎の空調方式から、室間の温度差が小さいデシカント式の全館空調に変更している。居住者が転居せずに工事ができる範囲の改修となっている。

図1 実証で利用する住宅の外観 出典:大阪ガス
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