風力発電の騒音評価は四季ごとに、評価マニュアル公開へ自然エネルギー

環境省は風力発電設備の新設時における騒音評価の手法に関する報告書をまとめた。原則として四季ごと、かつ昼夜に騒音評価を行い、残留騒音からの増加量が5dBに収まるようにすることを目安とする方針だ。

» 2016年12月01日 13時00分 公開
[陰山遼将スマートジャパン]

 環境省は2016年11月25日、「風力発電施設から発生する騒音等の評価手法に関する検討会」の内容をとりまとめた報告書を公表した。同検討会は風力発電施設の設置にあたり、設備から発生する騒音およびその影響を回避・低減するための評価手法の策定を目的としたもの。報告書では、主に商業用に用いられる一定規模以上の風力発電施設を対象に、現時点までの知見や研究成果、今後の対策などについてまとめている。

 報告書の概要では、風力発電施設から発生する音は、通常著しく大きいものではないが、もともと静穏な地域に建設されることが多いため、比較的小さな騒音レベル(A特性音圧レベル)であっても苦情などの発生事例があると指摘。

 風力発電施設のブレードの回転に伴い発生する音は、場所や風向によっては、幅変調音(スウィッシュ音)として聞こえることがある。また機種によっては、内部の増速機や冷却装置の音が発生している。これらは騒音レベルは低く国内外で得られた研究成果によれば人の健康に直接的に影響をおよぼす可能性は低いと考えられる一方、騒音に含まれる振幅変調音や純音性成分などがわずらわしさ(アノイアンス)を増加させる傾向があるという。特に静かな環境では、風車騒音が35〜40dBを超過するとアノイアンスの程度が上がり、睡眠への影響のリスクを増加させる可能性があることが示唆されているとした。

 報告書ではこうした状況を踏まえ、風力発電施設の設置または発電設備の新設を伴う変更が行われる場合を対象に、風力発電施設の騒音評価手法に対する考え方を示した。まず、屋内の生活環境保全を考慮して屋外で昼夜毎に騒音評価を行い、残留騒音(一過性の特定できる騒音を除いた騒音)からの増加量が5dBに収まるように設定することを目安とする方針だ(図1)。

図1 残留騒音からの増加量を5dBに収める 出典:環境省

 また、測定は年間の状況を正確に把握するため、原則として四季ごとに風が安定して吹いている状況で行う必要があるとしている。ただし、ただし気象条件の変動が小さい場合などは調査回数を減らすことができるという条件も設ける。環境省ではこうした方針のもと、今後具体的な測定・評価手法を定めたマニュアルを策定する予定だ。

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