太陽光・風力発電のコストが急速に低下、海外で単価3円を切る電力の契約も自然エネルギー(2/3 ページ)

» 2016年12月12日 09時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

洋上風力の電力も6円まで下がった

 同様の状況は風力発電でも起こっている。特に洋上風力で発電した電力の価格低下が著しい。

  • デンマークの電力会社が2016年6月にオランダ沖の洋上風力発電の電力を1kWhあたり8セント(約9円)で契約
  • スウェーデンの電力会社が2016年9月にデンマーク沖の洋上風力発電の電力を6セント/kWh(約7円)で契約
  • 同じスウェーデンの電力会社が2016年11月にデンマーク沖の600MWの洋上風力発電の電力を49.9ユーロ/1000kWh(約6円/kWh)で契約

 これから日本でも導入量の拡大が期待できる洋上風力発電の電力が、石炭火力を下回る価格で取り引きされている。「すでにヨーロッパでは洋上風力発電が最も安い電源の1つになっている」(コーベリエル氏)。

 陸上を含めて風力発電の導入量は2015年に大幅に伸びた。GWEC(世界風力エネルギー協議会)の統計によると、2015年に全世界で6300万kWにのぼる風力発電の導入量があり、累計では4億3300万kWに達した(図4)。太陽光発電と比べて2倍近い規模の導入量になっている。前年からの伸び率は23%と高い水準だ。

図4 世界の風力発電の累積導入量。GW:ギガワット(=100万キロワット)。出典:自然エネルギー財団(GWECのデータをもとに作成)

 風力発電では中国の導入量が圧倒的に多く、2015年末の累積導入量は1億4500万kWに拡大した(図5)。米国やドイツでも着実に増えている。「ドイツは面積が小さい国にもかかわらず、2015年は過去最大の導入量を記録した」(同)。このほかにインドの伸びが大きく、累積導入量でスペインを抜いて世界の第4位に躍進している。

図5 主要国の風力発電の累積導入量。GW:ギガワット(=100万キロワット)。出典:自然エネルギー財団(GWECのデータをもとに作成)

 発電コストの低下も急速に進んでいる。Bloombergの調査・分析によると、2009年から2015年のあいだに陸上風力の発電コストが半減した(図6)。1kWhあたりのコストは8.3セント(約9円)まで下がって、石炭火力と同程度になり、天然ガス火力よりも安くなっている。

図6 陸上風力の累積導入量と平均コスト。単位:ドル/1000キロワット時。出典:Bloomberg New Energy Finance

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