サンテック社がメガソーラーのコスト削減に取り組んだ背景には、固定価格買取制度の買取価格が年々低下していることがある。2012年度の制度開始当初は40円だった買取価格が2016年度には24円まで下がり、さらに2017年度には21円になる。しかも発電能力が2MW以上のメガソーラーの買取価格は入札によって決める。もはや20円を切るのは時間の問題になってきた。
資源エネルギー庁の分析によると、日本国内で事業用に導入する太陽光発電システムの価格は、2016年の平均値で1kWあたり28.9万円である。これに対して太陽光発電で先行するヨーロッパでは、2年前の2014年の時点でも15.5万円で格段に低い(図5)。日本では太陽電池モジュールをはじめ、パワコン、架台、設置工事のすべてが割高な状況だ。
過去5年間の太陽光発電システムの価格を見ても、発電能力が500kW以上では30万円前後のまま横ばいの状態が続いている(図6)。政府は今後も買取価格を引き下げて、発電事業者にコスト削減を促す方針だ。システム価格を2020年に20万円/kWへ、2030年には10万円/kWまで低減することを国の目標に掲げている。火力発電のコストよりも低く抑えて再生可能エネルギーの電力を拡大する。
買取価格が低下する中で、コストを削減できない発電事業者はメガソーラーの開発競争から取り残されることになる。政府は太陽光発電の買取価格を決めるにあたって「トップランナー方式」を採用している。直近の実績データをもとに、システム価格が低いほうから上位25%を基準に買取価格を算定する方式だ。
2016年の実績データでは、発電能力が1000kW以上のシステムの中央値(上位50%)は28.2万円だが、上位25%になると24.4万円まで下がる(図7)。その差は3.8万円と大きい。政府が2017年度の買取価格を21円に決定した時にも、システム価格は24.4万円を採用している。
今後さらに海外製の低価格な太陽光パネルやパワコンなどを導入してコスト削減に取り組む発電事業者が増えることは確実だ。そうなると上位25%のトップランナーのシステム価格はいっそう低下していく。買取価格が20円を切っても利益を上がられる発電事業者だけが導入量を増やせる時代になる。
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