2016年度に総額100億円の国家予算を投入して支援する地熱資源開発の対象地域に全国26地域が決まった。北海道の10地域をはじめ、東北で5地域、九州で7地域、さらに関東や北陸の温泉地帯でも、地熱発電所の建設に向けて地質調査を実施する。2020年代の半ばから運転を開始できる見込みだ。
世界で第3位の地熱資源量を誇る日本だが、他国に比べて地熱発電の導入量は少ない。政府は地熱発電の拡大に向けて、開発の初期に必要な地質調査などを対象に2012年度から「地熱資源開発調査事業」を実施している。2016年度には総額100億円の予算を投入する計画で、公募を通じて26地域の開発プロジェクトを採択した(図1)。
火山地帯が多い北海道で10件、東北で5件、九州で7件が選ばれた。このほかに栃木・新潟・富山・鳥取の4県の開発プロジェクトが補助金の対象に加わる。栃木県では北部の日光市にある川俣(かわまた)温泉の周辺地域を対象に、東京電力ホールディングスが地質調査を実施する予定だ(図2)。一帯は日光国立公園の中にあるが、規制緩和によって地熱発電が可能になっている。
地熱発電所を建設するためには地表調査から始めて、掘削調査や探査を実施したうえで資源量を評価して、最終的に事業化を判断するプロセスが一般的である(図3)。通常は探査まで完了するのに約5年の期間がかかり、その後に発電設備の建設工事に入る。
これから地熱調査に着手するプロジェクトでは、環境アセスメントを必要としない中小規模の地熱発電所でも、運転を開始できる時期は早くて7〜8年くらい先になる。大規模な地熱発電所になると運転開始までに10年以上かかる。それぞれの開発プロジェクトが順調に進んでいけば、2020年代の半ばから全国各地に地熱発電所が続々と誕生する。
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