北海道の南西部に広がる火山地帯では、北海道電力と九州電力が共同で地熱資源の調査に乗り出す。現在も火山活動が活発な壮瞥町(そうべつちょう)の東側が対象地域になる(図4)。この一帯は支笏洞爺(しこつとうや)国立公園に含まれている。両社の計画では2016年度に地表調査を実施して、2017年度から掘削調査に入る予定だ。その後に蒸気の噴出試験を通じて地熱の資源量を評価したうえで、地熱発電の可能性を判断する。
福島県の内陸部にある磐梯(ばんだい)地域では、石油大手の出光興産をはじめ11社が合同で2013年度から地熱資源の調査を続けている。磐梯朝日国立公園の中にある磐梯山の周辺地域が対象で、すでに地表調査を完了した(図5)。
続いて掘削調査を2016〜2017年度の2年間で実施するために、現在は地下2000メートル前後の深さまで2本の調査井(ちょうさせい)を掘削しているところだ。このプロジェクトでは発電能力が7500kW(キロワット)以上の大規模な地熱発電所を建設する計画で、環境アセスメントを実施することも想定している。
北海道・東北と並んで地熱資源が豊富な九州でも開発計画が広がってきた。温泉地が点在する鹿児島県の霧島市では、国の補助金を受けて新規の開発プロジェクトが始まる。霧島錦江湾(きんこうわん)国立公園の中にある野々湯(ののゆ)温泉の周辺地域が対象だ(図6)。
近隣では九州電力の「大霧(おおぎり)発電所」が1996年から運転を続けている。発電能力が3万kWの大規模な地熱発電所だ。この発電所から排出する蒸気の供給事業を担当する日鉄鉱業が新たに野々湯温泉の周辺で地熱調査に着手する。
対象地域の地下には十分な量の地熱資源が分布していて、大霧発電所よりも高温で優勢な蒸気の噴出を確認済みだ(図7)。資源量の調査と環境アセスメントを通じて問題がなければ、発電能力が3万kWを超える大規模な地熱発電所の建設も可能になる。
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