日本とロシアのエネルギー協力が加速、複数の大型プロジェクトが動き出すエネルギー管理(1/2 ページ)

2016年12月15日に開催された日ロ首脳会談。その中で交わされた8項目から成る日本とロシアの経済協力プランの中で、エネルギー分野の占める比重は大きい。こうした動きを受を受け、ロシアと日本企業の共同プロジェクトが相次いで発表された。

» 2016年12月19日 07時00分 公開
[陰山遼将スマートジャパン]

 2016年12月15日に山口県で開かれた日ロ首脳会談(図1)。日本側から今後のロシアとの経済協力の方策について、8項目の分野を明示した「協力プラン」を提示。その中の1項目には、エネルギー分野も織り込まれている。

 首脳会談の翌日12月16日には東京都内で、日本とロシアの経済団体が経済協力などについて協議する「日ロビジネス対話」も開催された。こうした動きを受け、8項目の経済協力プランに沿ったかたちで、日本とロシアの協力による複数の大きなエネルギー関連のプロジェクト実施に向けた動きが加速している。

図1 山口県で開かれた日ロ首脳会談の様子 出典:内閣府広報室

 まず、石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)と、国際石油開発帝石、丸紅の3社はロシアの国営石油会社であるロスネフチと、ロシア・サハリン島南西海域における炭化水素の探鉱事業の実施検討について、覚書を締結した(図2)。

図2 ロシア・サハリン島南西海域の位置 出典:JOGMEC

 経済産業省資源エネルギー庁が所有する物理探査船「資源」を活用し、天然ガス資源となる炭化水素の発見に向け、地質調査や探鉱を進める方針だ。今後3社とロスネフチと協議を進めていく。日本側は炭化水素を発見でき、生産開発事業に発展した場合のエネルギーセキュリティー向上のメリットを見込む。

 こうした資源開発では、既に三菱商事と三井物産がロシアの国営エネルギー企業であるガスプロムがサハリン沖ですすめる天然ガス事業「サハリン2」がある。サハリン2で生産される液化天然ガスの約7割は日本に出荷されており、国内の液化天然ガス輸入量の約1割を占める。

 今回、三菱商事とガスプロムは新たに、鋼管や鉄鋼製品といった資機材調達、化学品の取引など、エネルギー分野以外の協業を模索する新たな覚書を締結。両社はサハリン2の生産規模拡大に向けた検討も進めているが、日ロ首脳会談を機に関係強化を図っている。

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