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» 2017年01月13日 09時00分 公開

2017年のエネルギートレンド(4):電力を地産地消する動きが加速、原子力に依存しない分散型へ移行 (2/4)

[石田雅也,スマートジャパン]

関西と九州で電力の地産地消が拡大

 原子力発電に依存する割合が大きい関西・四国・九州の3地域では、電力会社に対抗して分散型の電源を拡大する取り組みが目立つ。大阪府の南部に50万人の組合員を抱える大阪いずみ市民生活協同組合(いずみ市民生協)は、太陽光発電設備を増やしながら再生可能エネルギーを多く含む電力を安く販売している。電力1kWh(キロワット時)あたりのCO2排出量は関西電力の半分以下だ。

 いずみ市民生協は2016年8月に京都府の亀岡市に大規模なメガソーラーを稼働させた(図5)。ゴルフ場の跡地を利用して、発電能力は7.5MW(メガワット)に達する。年間の発電量は976万kWhを見込み、一般家庭の使用量(年間3600kWh)に換算して2700世帯分の電力を供給できる。京都で作った電力を大阪で消費する事業モデルだ。

図5 「京都・亀岡太陽光発電所」の全景。出典:大阪いずみ市民生活協同組合

 関西電力の管内では大阪ガスが2016年4月にユニークなサービスを開始した。家庭に設置した燃料電池のエネファームで発電した電力の余剰分を買い取るサービスだ(図6)。エネファームの発電能力は0.7kWあるが、1日のうちにフル稼働する時間帯は長くない。買取サービスを実施することでエネファームの稼働率を引き上げるのと同時に、大阪ガスが小売電気事業者として販売する電力量を増やすことができる。

図6 エネファームで発電した余剰電力の買取サービス。出典:大阪ガス

 エネファームの販売台数は全国各地で着実に伸びている。特に震災が発生した2011年度から増加して、2016年9月の時点で累計の販売台数が20万台に迫る勢いだ(図7)。政府は災害に強い分散型の電源としてエネファームを普及させる方針で、2030年には全国で530万台の導入を目指している。これだけ数多く普及すれば、原子力に依存しない地域社会の構築に大きく貢献する。

図7 エネファームの販売台数(2016年度は4〜9月)。LP:液化石油(プロパン)。出典:コージェネ財団

 九州では福岡県みやま市で再生可能エネルギーの地産地消が進んでいる。みやま市が出資して設立した「みやまスマートエネルギー」が、太陽光発電の電力買取サービスと家庭向けの電力小売サービスを実施中だ。家庭に設置した太陽光発電設備の余剰電力を固定価格買取制度の単価よりも1円高く買い取る(図8)。

図8 太陽光で発電した電力の買取サービス。出典:みやまスマートエネルギー

 ほかにも再生可能エネルギーの電力を地域内から調達して、みやま市内の家庭を中心に電力を販売している。2016年4月に開始した「みやまんでんき」は、九州電力よりも安い単価で電力を供給するだけではなく、水道と組み合わせたセット割引を実施するなど自治体ならではのメリットを打ち出した(図9)。

図9 「みやまんでんき」のタブレット端末の画面イメージ。出典:みやまスマートエネルギー

 みやまんでんきのスローガンには次のように書かれている。「地域で産まれた電力を、地域で消費する、こんな当たり前のような事が今までは出来ていませんでした。10年後、電力を地産地消することが当たり前である事を目指し、“みやまんでんき”をみやま市民の皆さまにお届けします」。

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