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» 2017年01月13日 09時00分 公開

2017年のエネルギートレンド(4):電力を地産地消する動きが加速、原子力に依存しない分散型へ移行 (3/4)

[石田雅也,スマートジャパン]

関東でも太陽光発電の買取が広がる

 電力会社に対抗して地域性の高い電力の小売を展開する事業者は全国に広がってきた。関東を中心に住宅向けの太陽光発電設備を販売する日本エコシステムも愛媛県の坊ちゃん電力と同様に、無償で太陽光パネルを設置して電力を供給する。しかもCO2の排出量をゼロにできるプランがある。

 2016年6月から提供を開始した「地球応援プラン」では、昼間に太陽光で発電した電力を消費しながら、余剰電力を日本エコシステムに供給する。夜間には小売電気事業者で最大手のエネットが供給する電力を利用できる。そのうえで国が認証する「J-クレジット」の制度を利用してCO2排出量をゼロに削減する仕組みだ(図10)。日本エコシステムはCO2排出量に相当するクレジットを購入して排出量を相殺する。

図10 「地球応援プラン」の昼と夜の電力供給イメージと電源構成。出典:日本エコシステム

 地球応援プランの利用者は電気料金に月額100円を追加するだけでCO2ゼロの電力を使い続けることができる。電力の使用量が多い家庭ならば、東京電力の標準プランより電気料金が安くなる。さらに太陽光発電を開始して20年を経過すると、利用者は無償で発電設備の譲渡を受けられる。

 組み立て式の太陽光発電システム「My発電所キット」の導入量を急速に増やしているLooop(ループ)も、太陽光で発電した電力の買取と小売を実施中だ。My発電所キットの導入件数は発売から4年で1600件に達して、分散型の太陽光発電設備が全国各地で続々と運転を開始している(図11)。1カ所あたりの発電能力は90kWで、一般家庭の消費電力を3kWと想定すると30世帯分の電力を供給できる。

図11 「My発電所キット」の販売件数と発電能力の合計(画像をクリックすると拡大)。出典:Looop

 太陽光発電の電力を買い取るサービスに加えて、基本料金が0円の「Looopでんき」を全国7地域の家庭や商店に提供している。太陽光を中心に再生可能エネルギーを多く含む電力を供給しながら、すでに3万件を超える利用者を獲得した。今後も太陽光発電システムと小売サービスを組み合わせた電力の地産地消を推進していく。

 みんな電力が提供する「ENECT(エネクト)」もユニークな電力小売サービスの1つだ。「顔の見える電気」が特徴で、電力の利用者が発電所を選べる。地方の住民や自治体が運営する再生可能エネルギーの発電所を利用者が選んで電力を購入できる(図12)。発電所から特典として野菜などが送られてくるケースもある。

図12 生産者の顔が見える電力小売サービス「ENECT」の仕組み。出典:みんな電力

 この仕組みを利用して、長野県の企業局は建設中の小水力発電所の電力を販売する。2017年4月に運転を開始する2カ所の小水力発電所は合わせて1750世帯分の電力を供給できる(図13)。みんな電力は長野県を含む中部電力の管内のほかに、東京電力と関西電力の管内でも小水力発電所の電力を販売する予定だ。

図13 「奥裾花第2発電所」の完成イメージ。出典:長野県企業局

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