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» 2017年01月16日 11時00分 公開

自然派新電力が開くエネルギーの未来(3):自治体新電力の草分け、みやまスマートエネルギーの戦略とは (2/3)

[廣町公則,スマートジャパン]

家庭の太陽光から7.5MW調達、買い取りはプラス1円

 みやまスマートエネルギーが販売する電力は、市内の再生可能エネルギーが中核となる。みやま市には、市と市内企業が共同で作った5.5MW(メガワット)のメガソーラーがある。さらに、太陽光パネルを設置した市内の家庭から余剰電力を買い取り、合計7.5MW相当の電源としている。現在、太陽光(FIT電気)の比率は、平均40%前後を維持しているということだ。

 ここで注目すべきは、一般家庭の太陽光だけで7.5MWを集めているということだろう。地域の世帯数を考えると驚異的と言って良い。この背景には、みやま市における住宅用太陽光発電システムの高い普及率がある。市内に一戸建て住宅は約1万1300軒あるが、そのうち約9%に太陽光パネルが設置されているという。この数字は、全国平均の5.6%を大きく上回る。これには、市が2010年から続けてきた独自の補助金制度など、太陽光発電システム設置促進策が奏功している。

 余剰電力の買い取りにあたっては、九州電力の価格(FIT買取価格)より1kWh(キロワット時)あたり1円高く買い取っている。一般家庭にとってみれば、この金銭的メリットは大きい。こうして市民は、電力需要家としてだけでなく、発電事業者としても同市・同社の取り組みに主体的な関わりを持つことになるわけだ。

図3 電力調達と供給の基本的な流れ 出典:みやまスマートエネルギー

水道とのセット割など自治体新電力ならではのメニュー

 電力小売に関しては、2015年11月から高圧電力販売をスタート。現在、市内のすべての公共施設に電力を送るとともに、工場やショッピングセンターなど多くの民間施設に供給している。JR九州など、九州全域におよぶ大口顧客も有していることは、先に触れた通りだ。

 低圧電力販売は、電力小売全面自由化にあわせて2016年4月から開始した。2017年1月時点で、低圧の契約件数は2000件近くに達している。市内の家庭に限ってみると、すでに約5%が九州電力から切り替えているという。

 家庭向けの電気料金プラン(従量料金プラン)は、九州電力より平均約3%安くなるよう設定されている。さらに、自治体新電力ならではの特長ともいえる「水道料金とのセット割」も設けている。みやま市の水道料金とまとめて支払うことで、電気の基本料金から毎月50円を値引くというシステムだ。また、同社には一般的な従量料金プランだけでなく、「オール電化プラン」や「低圧動力プラン」も存在する。これらのプランは、まだ新電力には珍しいものであり、特筆に値する。

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