世界各国が地球温暖化対策に取り組む中で、インターネットサービスに伴う電力消費量の増加は大きな課題だ。IT技術の革新とサービスの先進性で成長を続ける米国の企業は、率先して再生可能エネルギーへ移行を進めてきた(図4)。その結果がグリーンピースの評価にも表れている。
米国のインターネットサービス会社が2010〜2016年に契約した再生可能エネルギーの導入量を見ると、グーグルが群を抜いて多い(図5)。全世界で2000MW(メガワット)を超える電力を再生可能エネルギーで調達している。北米を中心にデータセンターやオフィスで利用する電力を太陽光発電や風力発電に切り替えてきた。2017年には全世界で消費する電力の100%を再生可能エネルギーで調達する方針だ。
グリーンピースによるクリーンエネルギーの定義は通常よりも厳しい。再生可能エネルギーの中でも、自然環境の破壊につながりかねない大規模な水力発電やバイオマス発電はクリーン度を低く評価する。原子力発電は地球温暖化の原因になるCO2(二酸化炭素)を排出しないものの、「環境と人類に対する受け入れがたいリスクを生み出す」とみなしてクリーンエネルギーの対象外だ。
こうした観点から、米国内でも東部のバージニア州はクリーンエネルギーの導入が進んでいないと指摘する。バージニア州では電力の96%が火力発電と原子力発電で、再生可能エネルギーは1%しか供給できていない(図6)。同州でデータセンターを拡大するアマゾンやマイクロソフトの評価を下げる1つの要因だ。
中国では石炭火力発電の比率が67%と圧倒的に高く、再生可能エネルギーは5%にとどまっている(図7)。アリババ、バイドゥ、テンセントといった中国のインターネットサービス会社がクリーンエネルギーを増やすのは難しい状況だ。独自に太陽光発電所や風力発電所を建設する以外に有効な手段はなく、グリーンピースから高い評価を受けるまでには時間がかかる。
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