電力会社のシステム不具合が相次ぐ、中部電力に続いて北海道電力でも電力供給サービス(1/2 ページ)

小売全面自由化に合わせて運用を開始した電力会社のシステムに不具合が相次いで発生している。北海道電力はエリア内の需要と発電量をもとに算定するインバランスに誤りがあったことを公表した。他のエリアとやり取りした電力量を考慮しない計算式でシステムを開発してしまったことが原因だ。

» 2017年01月19日 12時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

 北海道電力の託送業務システムに不具合が判明したのは、中部電力が昨年末の12月22日に経済産業省に報告した「エリアインバランス」の誤算定がきっかけだった(図1)。エリアインバランスは全国10地域の電力会社が送配電事業者として需給バランスを調整する結果で生じるもので、調整した電力量に基づいて発電事業者・小売電気事業者とインバランス料金を精算する必要がある。

図1 エリアインバランスの誤算定が判明した経緯。出典:北海道電力

 この料金精算の方法は2016年4月に開始した電力の小売全面自由化に合わせて新たに導入したものだ。発電事業者と小売電気事業者は30分ごとの需要と発電量を1時間前の時点の計画値で一致させる「計画値同時同量」の義務を負っている。従来は実績値で一致させる「実同時同量」だったが、小売全面自由化を推進する目的で変更した。

 計画値同時同量では実績と計画値に差(インバランス)が発生した場合に、電力会社の送配電部門が電力量を調整したうえで余剰あるいは不足を託送業務システムで算定する(図2)。算定した結果は全国の需給バランスを調整する電力広域的運営推進機関(広域機関)に報告して、全国レベルでインバランス料金を精算する仕組みになっている。

図2 計画値同時同量に基づくエリアインバランスの発生例。出典:北海道電力

 ところが北海道電力の託送業務システムでは他のエリアとやりとりした電力量の実績値を計算式に含めていなかった(図3)。その分がエリアインバランスに反映されず、正しくないインバランス料金のまま発電事業者や小売電気事業者と精算を続けていた。2016年4月分から10月分までのエリアインバランスに誤りが生じたとみられる。

図3 エリアインバランス誤算定の状況。出典:北海道電力
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