金属部品に起こりがちな「錆(サビ)」。太陽光発電設備においてはこのサビが部材の強度劣化や発電量低下、機器の故障などを引き起こします。サビは雨風だけではなく、使用金属同士の相性も関係しています。それを念頭に置くことで、早めの防サビ対策にも役立ちます。(本記事は「O&M Japan」からの転載記事です)。
この記事は太陽光発電のO&Mに関する総合情報発信サイト「O&M Japan」に掲載された「錆(金属腐食)が引き起こす故障と発電量の低下」のポイントを、スマートジャパン編集部で一部編集し、転載したものです(アイティメディアの表記ルールに基づいて原本から表記を一部変更しています)。
太陽光発電設備に発生する不具合のなかで、大きな問題になっているものの1つが金属部分の錆(サビ)です。
金属にサビ(金属腐食)が発生するのは、太陽光発電設備が常に雨風にさらされているからという理由だけではありません。異なる金属同士を接触して使用することで起こる電蝕(でんしょく)という現象があり、これが原因でサビが発生することも多いのです。
下記の写真(図1)は、金具と太陽光モジュールのフレームの接合部分で発生したサビです。金具とフレームの材質の違いによる電蝕が原因とみられます。なお、この接合部分には施工時に「防サビ加工」が施されていたのですが、「膜厚」(まくあつ、塗装の厚み)が薄く、それがサビにつながった可能性もあります。
電蝕は「異種金属接触腐食」とも呼ばれていて、異なる種類の金属材料が電気的に接触し、腐食環境中でイオン化により相互に影響し合って生じる腐食現象です。この現象は電位差が大きい材質同士を使う時に多く発生し、イオンになりやすい方の金属が腐食します。つまり使用する金属の材質に留意する必要があるのです。
例えば鉄とアルミニウムの間には電位差がありますし、鉄と銅の間にはそれ以上の電位差があります。また、ステンレスとアルミの組み合わせもよくないとされています。他にも高耐食溶融めっき鋼板とステンレスも腐食の事例があります。これらの金属は太陽光発電設備の架台や取り付け金具に広く使われていますので、注意が必要です。
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