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» 2017年02月09日 07時00分 公開

ショートしない全固体リチウム電池、世界最高レベルの導電率蓄電・発電機器(2/2 ページ)

[陰山遼将スマートジャパン]
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「世界最高のリチウムイオン伝導率」

 今回の技術では、単結晶成長方法の1つである「フローティングゾーン溶融法(FZ法) 」を用い、合成が困難と思われていた固体電解質材料であるガーネット型酸化物単結晶を合成した。得られた単結晶を用いて作製した固体電解質部材は、従来の焼結体よりも稠密で、金属リチウムの貫通を防ぐことができる。

 短絡試験を行った結果、10mA/cm2の大電流でも内部短絡は起こらなかった。また、25度で導電率10-3S/cmを超え、有機電解液と同等以上のリチウムイオン導電率を示した。研究グループは「現時点で酸化物系固体電解質材料では世界最高のリチウムイオン導電率を示した」としている(図2)。

図2 今回開発した単結晶固体電解質部材(a、b)とその電気化学特性(c、d) 出典:産総研

 さらに、作成したガーネット型酸化物単結晶を用いた固体電解質部材の基材に、産総研独自の常温製膜技術である「エアロゾルデポジション法(AD法)」という手法を用い、正極のニッケル系酸化物材料を製膜した。これにより、従来からの課題であった電極と電解質界面の高い密着性を実現した。研究グループは「25度で充放電が可能で、短絡・発火の危険性がほぼ全くない、高い安全性と高い信頼性を併せ持つ全固体リチウム二次電池を開発できた」としている。なお、作成した全固体リチウム二次電池の直径は5mm、厚さ0.7 mmだ。

図3 今回開発した小型全固体リチウム二次電池(a)とその構成(c)、および作動温度25度での充放電サイクル特性(b) 出典:産総研

 今後研究グループでは、コア技術である固体電解質単結晶の製造技術について、企業との連携によって、量産化と品質安定化の研究開発を進め、さらに量産性に優れた単結晶育成技術への展開についても検討を行う。まずは長寿命で高い安全性・信頼性が必要とされる医療用途をはじめとするマイクロバッテリーの応用分野で、関連企業との連携により、2020年ごろまでの実用化を目指す方針だ。

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