12の予測は光と影、2035年のエネルギー(3)自然エネルギー(1/4 ページ)

世界のエネルギーの未来を決めるのは中国だ。2035年までのエネルギー市場の動向を予測した「BP Energy Outlook 2017 edition」から分かる結論の1つである。中国は今後、どのように変わるのか。予測の内容を紹介する。

» 2017年02月10日 13時00分 公開
[畑陽一郎スマートジャパン]

 世界のエネルギー動向を決める最大のプレーヤーは誰だろうか。

 英国の国際石油資本BPが2017年1月に発表した「BP Energy Outlook 2017 edition(Outlook)」の内容を第1回第2回に分けて紹介した。2035年までに世界のエネルギー市場がどのように変化するのかを予測した内容だ。

 化石燃料優位は変わらず、二酸化炭素排出量削減が不十分なことが1つ。もう1つは再生可能エネルギーと天然ガスが急速に成長することを予測した。

 Outlookが示した12の予測の端々から、世界のエネルギー動向に対してある国が極めて大きな影響を与えることが分かる。中国だ。そこで、今回はOutlookの内容のうち、中国だけに焦点を当ててみよう。

エネルギー需要が最大の国

 エネルギーについてOutlookは中国を2つの視点で捉えている。1つはエネルギー需要が世界最大の国(図1)、もう1つはエネルギー構成を急速に変化させている国だ。

図1 世界の一次エネルギー需要の推移(地域別) 中国(China)を青で示した。単位は石油換算10億トン 出典:BP Energy Outlook 2017 edition

 中国は世界最大の一次エネルギー需要国であるばかりでなく、これまでの20年間、エネルギー市場の成長源でもあった。2035年に向かってこの状況が変わっていく。エネルギー需要の増加率は低い水準にとどまり、加えて、需要の伸びを主に再生可能エネルギーでまかなうと予測した。

 中国がこのような変化を見せる原因は4つある。第1は経済成長率(GDP)。1975年以降、中国のGDPは年平均10%弱を維持してきた。Outlookの予測によれば、今後2035年まではほぼ5%にとどまる*1)。半減に近い(図2)。第2に人口増加率。2035年までの人口増加率は年平均0%程度。

*1) これは中国の経済的な地位低下には直接つながらない。2035年までの世界の経済成長に占める割合が最も高いのは中国、次にインドとOECD(経済協力開発機構)諸国だ。

図2 中国のGDPと一次エネルギーの年増加率の推移 今後GDPの伸び率が半減し、一次エネルギー需要増に占める工業(赤)の比率が下がる 出典:BP Energy Outlook 2017 edition
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