12の予測は光と影、2035年のエネルギー(3)自然エネルギー(4/4 ページ)

» 2017年02月10日 13時00分 公開
[畑陽一郎スマートジャパン]
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中国に対する予測をどの程度変えたのか

 今回のOutlookは、第7版に相当する。過去の版と今回の版は予測の内容が幾分異なる。どのように異なるのか、第2回では、全世界について差分を扱った。

 今回は中国に限定してどのように予測が変化したのかを紹介しよう。

 最大の違いは中国のエネルギー需要の見通しだ。過去3年間の版と比較すると、大幅に下方修正した(図6)。2035年の中国のエネルギー需要量の最新の見通しは、2014年版の見通しと比べて8%低い。年間エネルギー需要量の差分を石油換算トンの数値で表現すると、4億トン(400Mtoe)となる。

図6 中国の一次エネルギー需要に関する予測 2011年から今回まで5つの予測を並べた。単位は10億石油換算トン 出典:BP Energy Outlook 2017 edition

 今回のOutlookで予測を大きく変えた理由は2つあるという。それぞれが寄与比率はほぼ5割ずつだ。

 第1の理由は、近年のエネルギー需要量がこれまでの予想を下回っていること。経済成長が予想よりも急速に減速し、さらにエネルギー原単位が急激に低下したためだ。第2の理由は経済成長率自体だ。見通しが弱い。

エネルギーの成長は中国から周辺諸国へ

 中国のエネルギー需要量を大きく下方修正したにもかかわらず、日本と韓国を除いた新興アジア全体のエネルギー需要の見通しは2014年版とほぼ変わらない。なぜか。

 中国以外の新興アジア経済におけるエネルギー需要量の予測値を上方修正し、中国の需要減を相殺すると予測したからだ。

図7 新興アジアの一次エネルギー需要の予測に関する差分 中国(青色)の予測が一貫して下がっている一方、インド(空色)やその他の新興アジア諸国(黄色)が高くなっている。単位100万石油換算トン 出典:BP Energy Outlook 2017 edition

 中国経済が成熟するにつれて、エネルギー消費量の大きな工業などがインドやインドネシア、ベトナムなどより低コストで低所得のアジア諸国に移行すると予測した。

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