東京ガスとパナソニックは家庭用燃料電池「エネファーム」の戸建て向け新製品を共同で開発した。インターネット接続機能や、連続運転性能など、さまざまな機能強化を図ったが、税別150万円を下回る価格を実現した。2017年4月1日から東京ガスが販売する。
東京ガスとパナソニックは家庭用燃料電池「エネファーム」の戸建て向け新製品を共同で開発した。パナソニックが燃料電池ユニットを製造し、貯湯ユニットおよびバックアップ熱源機と組み合わせて供給し、東京ガスが2017年4月1日から販売する。
新製品はシステムの簡素化などにより部品点数を現行品と比較して約20%削減したことや、主要デバイスである発電を行うスタックの構成や燃料処理器の触媒の見直しなどにより、同社によると一般モデルは日本で初めて希望小売価格で150万円を下回り、税別149万8000円を実現した。なお、これは設置工事費別で、停電時発電継続機能なしの燃料電池ユニット、標準タイプのバックアップ熱源機を利用したモデルの場合だ。
また、非常時に役立つ機能を強化したレジリエンスモデルは、停電時に電気を使いたいというニーズに従来以上に対応しやすくするため、スタックの連続発電性能を向上させることで、現行品の約2倍となる最長約8日間(192時間)にわたって継続して発電が行える。さらに、現行品は、エネファームが発電していないときに停電が起きた場合、別付タイプの自立起動用オプション品で起動させる必要があったが、同モデルは起動時に必要な電流耐性の見直しなどにより、停電中にエネファームが停止していた場合でも、市販の蓄電池や発電機などのAC100V電源でエネファームを起動できる。
新製品は、LANケーブルを介してインターネットに接続できることも大きな特徴だ。東京ガスが2017年8月から提供予定の「ネットワーク接続サービス」を活用すると、スマートフォンアプリを使用して、外出先から風呂や床暖房、発電のON/OFF操作などが可能になる。エネファームで計測した電気やガス、湯の使用量や光熱費などを把握することもできる。加えてインターネット回線を通じて、遠隔からエネファームのソフトウェアを最新バージョンにアップデートしたり、故障の際にはメンテナンススタッフが遠隔からも機器の状態を確認できたりする。ネットワーク接続サービスは別途の申し込みが必要だが、東京ガスとの都市ガス供給契約を締結している客を対象には2020年3月まで無料で提供する。
この他、新製品は主要デバイスであるスタックと燃料処理器の耐久性を見直すことで、燃料電池ユニットの発電耐久時間を従来の7万時間から9万時間に延ばし、長寿命化を図った。また、起動回数も、従来は1日に1回だったが、運転方法の改良などにより、1日2回の発電が可能になった。
設置性も高めた。施工方法などの工夫や、メンテナンスの際に必要なスペースの見直しにより、現行品と比較して奥行きが150mm(ミリメートル)少なく、約600mmのスペースがあれば設置できる。また、燃料電池ユニットを現行品と比較して約15%軽量化した。
なお、パナソニックは、LPガスに対応した、エネファームの戸建向け新製品を開発し、2017年4月1日よりLPG事業者向けに発売することも発表している。パナソニックではLPG機を商品ラインアップに加えることで、都市ガス機を含め年間約3万台の販売を目指す方針だ。
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