風力発電の「戦略的適地」に選ばれた福岡県・北九州市の沖合を対象に、国内最大級の洋上風力発電プロジェクトが動き出した。有力企業5社の連合体が建設に向けた調査を開始する。最大44基の大型風車を設置する計画で、2022年度に着工する予定だ。発電能力は最大で220MWを想定している。
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日本海に面した北九州市の「響灘(ひびきなだ)地区」には、LNG(液化天然ガス)の基地を中心に臨海工業地帯が広がっている。この一帯に風力発電の一大産業を展開する構想が進行中で、沖合には大規模な洋上風力発電施設を建設する計画だ(図1)。北九州市が発電事業者を公募して、2月15日に選定結果を発表した。
選ばれたのは九州電力グループの九電みらいエナジーを代表とする5社の連合体だ。地元の九電工と西部ガス、全国各地で風力発電所を運営する電源開発、さらに風力発電のメンテナンスを手がける北拓がメンバーに加わった。有力企業が集結して国内最大級の洋上風力発電プロジェクトを開始する。
建設予定の海域は響灘の臨海工業地帯から5キロメートルほどの沖合に広がる4つの区域で、面積は合わせて2700万平方メートルに及ぶ(図2)。国内で2番目の広さがある北九州港の港湾区域に含まれている。国土交通省が洋上風力発電を推進するために、2016年5月に法律を改正して港湾区域の占用許可制度を導入した。響灘沖のプロジェクトは法改正後に認められた初めての案件だ。
発電事業者になる5社が北九州市に提案した計画では、4つの区域に最大で44基の大型風車を設置する。総事業費は約1750億円にのぼる見通しで、5年後の2022年度に着工を予定している。運転開始時期は未定だが、設置を完了した風車から順次稼働させる方針だ。今後は現地で風況などを調査したうえで事業化を決定してから、着工に向けた環境影響評価の手続きに入る。
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