楽天は家庭・商店向けの電力小売事業にも力を入れる。2016年4月から小売全面自由化に合わせて「まちでんき」を開始した。提供エリアは北陸・四国・沖縄を除く全国7つの地域で、家庭向けの「スタンダードプラン」と事務所・商店向けの「プレミアムプラン」の2種類がある(図6)。
2つのプランともに電力会社の標準メニューである「従量電灯」と比べて、月額固定の基本料金を高く設定する代わりに、毎月の使用量に応じて課金する「従量料金(電力量料金)」の3段目の単価を低く抑えた。東京電力のエリアでは3段目の単価が3〜4円程度安くなる(図7)。
このため毎月の使用量が多い家庭や商店の場合に電気料金が安くなる。標準的な家庭(契約電力30アンペア、月間使用量300キロワット時)で比較すると、月額の電気料金は東京電力(従量電灯B)の7837円に対して、「まちでんき」は8242円と高い。戸建住宅などで契約電力が50アンペアと大きく、月間使用量も2倍の600キロワット時になると、月額で1092円の割安になる(図8)。
今のところ「まちでんき」のメリットを料金面で享受できるのは、電力の使用量が多い家庭や事務所・商店に限られる。楽天は「まちでんき」の顧客獲得にも既存事業と相乗効果を生み出す狙いだ。全国に8000万以上の会員を抱える「楽天スーパーポイント」と組み合わせて利用者の拡大を図る。
「まちでんき」を利用すると、使用量10キロワット時ごとに1ポイントが貯まる。企業の場合には2倍の2ポイントになる。さらにクレジットカードの「楽天カード」で電気料金を支払うと、100円ごとに1ポイントが貯まる仕組みだ(図9)。
2月6日から「まちでんき」の新規加入キャンペーンも開始した。契約電力によって1000ポイントか2000ポイントを付与する。貯めたポイントは楽天グループの商品・サービスの購入時に1ポイントを1円として利用できるほか、提携先のポイントに交換することも可能だ。楽天が展開する「楽天経済圏」を電力の小売事業に生かす。
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