太陽光発電や風力発電設備の出力制御において、発電事業者間の公平性を確保することは重要な課題だ。資源エネルギー庁は2月16日に出力制御の公平性を保つためのルールをまとめたガイドラインの素案を公開した。出力制御の量ではなく、機会を均等にして公平性を確保する方針だ。
再エネ特措法にもとづき、太陽光発電・風力発電事業者は、接続契約を締結している一般送配電事業者や特定送配電事業者から出力制御の要請が出された場合に協力する必要がある。一方、出力制御を行う際の重要なポイントの1つが、発電事業者間の公平性を確保することだ。
資源エネルギー庁は現在、出力制御の公平性確保に向けたルール作りを進めており、2017年2月16日にこれまでの方針をまとめたガイドライン案を公表した。出力制御における公平性の考え方を示したものとなっている。同時に内容に対する意見募集(パブリックコメント)も開始した。資源エネルギー庁は2017年度内にルールを策定したい考えだ。
出力制御の上限については発電設備によって適用される基準が異なる。太陽光発電の場合は主に年間30日の「日数制御」、または年間360時間の「時間制御」による上限がある。風力発電については、日本風力発電協会が提案した「部分制御換算」という手法に基づき720時間を制御の上限とするルールが既設の設備にも適用される見込みだ。この他、国から指定電気事業者に認定された電力会社が上限時間を設けずに無補償で出力制御を要請できる、いわゆる「指定ルール」の対象となる設備もある。
このように出力制御のルールはさまざまだ。その中で事業者間の公平性を確保するため、ガイドライン案では適用される出力制御ルールごとにグループ分けを行い、年度単位で出力制御の機会が均等となるよう順番に出力制御を実施する方針を示した(図1)。さらに「結果的にすべての電源が均等に出力制御されない場合も、手続上の公平が確保されている限りにおいて、国が求める『公平性』に反することにはならない」としている。
つまり、実際には日射量・風況などによって差が生まれる出力制御量ではなく、出力制御の機会を均等にすることで、公平性を担保するという考え方である。
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