水素で200キロ走る燃料電池バス、東京都心で運行開始へ電気自動車(2/2 ページ)

» 2017年02月28日 11時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]
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2020年までに100台以上を導入

 東京都はオリンピック・パラリンピックを開催する2020年までに100台以上の燃料電池バスを運行させる計画だ。合わせて燃料電池自動車を6000台に増やし、都内の水素ステーションも35カ所に拡大する目標を掲げている(図5)。世界で最先端の水素社会を構築してオリンピック・パラリンピックでアピールする。

図5 東京都の水素社会実現に向けたロードマップ(画像をクリックすると2030年まで表示)。出典:東京都環境局

 トヨタ自動車は東京都や国が推進する水素社会に向けて、燃料電池バスの生産台数を増やしていく。2019年度までに累計で100台を生産して、さらに2020年度には月産10台のペースに引き上げる方針だ(図6)。現在は1台で約1億円の車両価格を量産効果で大幅に低下させる。

図6 トヨタ自動車の燃料電池バスの生産台数目標。出典:トヨタ自動車

 政府は自動車やバスが排出するCO2を削減するために、2030年度には燃料電池自動車を全国で80万台、燃料電池バスを1000台以上に増やす(図7)。当面は東京都を中心に普及させながら、量産効果による車両価格の低下と水素ステーションの増加に伴って全国へ拡大させていく。同時に水素の需要を増やして国内の新たな産業として育成する。

図7 国全体の燃料電池自動車(FCV)と燃料電池バス(FCバス)の普及目標と水素需要(2030年)。出典:国土交通省、環境省

 その一方で燃料電池自動車や燃料電池バスを災害時の電力供給源としても活用する。トヨタFCバスには最大で7.2kWの電力を外部に供給できる能力がある(図8)。供給できる電力量は235kWh(キロワット時)にのぼり、一般家庭の使用量(1日あたり10kWh)に換算して約24世帯分に相当する。

図8 燃料電池バスによる電力供給イメージ。出典:トヨタ自動車

 災害時には燃料電池バスを避難所に移動して照明や空調の電力に生かす。東京都内で100台の燃料電池バスを利用できれば、災害時の移動電源車として大きな役割を果たせる。環境にやさしくて災害に強い水素社会に一歩ずつ近づく。

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