石炭火力発電所は大規模な設備であり、ほとんどの国で環境アセスメントを含む政府の認可が必要だ。そのため計画発表から完成まで10年程度の期間が必要な場合もある。
全ての開発段階の動向を把握しなければ、将来、運転を開始する発電所の予測はできない。
CoalSwarmは全動向を把握しており、Boom and Bust 2017に結果をまとめた。結論はこうだ。全ての段階で減少傾向にある(図2)。図2では全世界の出力30メガワット(MW)以上の石炭火力発電所の状況を示した。
例えば2017年1月時点で発表済みの計画規模は出力247.909ギガワット(GW)。これは2016年1月時点の487.261GWの約半分(50.9%)にすぎない。計画段階で出力(施設)が半減した。
建設に向けた準備もやはり半減(51.1%)し、許認可の取得に至った事例は59.2%まで低下。過去12カ月以内に着工した事例はさらに少なく、38.3%。このため、建設中の発電所は80.6%、過去12カ月以内に完成した発電所は71.2%に減った。
Boom and Bust 2017では全世界の動向を扱っているものの、特に中国とインドに重点を置いている。なぜだろうか。
二カ国で石炭火力の過半数を占めているからだ(図3)。稼働中の発電所のうち58%を両国が占めている。完成前の比率も高い。準備中の46%、建設中の71%だ。
だが、延期された発電所の数値を見ると、86%を両国が占めている。つまり、二カ国の動向が全世界の「風向き」を大きく変えたことになる。
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