太陽光発電物件に欠如する図面設計という問題太陽光(2/3 ページ)

» 2017年04月20日 11時00分 公開
[O&M Japanスマートジャパン]

欠如している「メンテナンス」という発想

 では、なぜ太陽光発電設備には「図面」がないのでしょうか。その要因は、そもそも多くの事業関係者に、「施工後に設備のメンテナンスが必要になってくる」「メンテナンスのことを考えた機器の構造設計が必要である」という発想(設計思想)がないことです。

 屋根設置型、野立て型に関わらず、施工時にきちんとメンテナンスのことを考えて施工するのが本来の太陽光発電設備の在り方です。しかし多くの人は、「太陽光発電設備の施工は、架台とモジュールを屋根の適当な場所にポンと乗せるだけ」「空いている土地に設置するだけ」としか考えておらず、詳細な施工図面などは必要がないと考えているのです。

 実は、モジュールメーカーの多くは、「こういう形状、こういう傾斜の屋根に取り付ける場合は、ここに〜センチの通路スペース(メンテナンススペース)を空けておいてください」といった仕様書を作成して配布しています。物件によってはメンテンナススペースを確保しないと、消防法に抵触します。しかし一部の販売業者や施工業者はそうした指導を守らず、オーナーの方に対して「少しでも多く発電するように、屋根のギリギリまでパネルを乗せましょう」と営業して不適切な施工を行っているのです。

 最近はパネルと屋根が一体型になった製品も多くあり、O&M業界で問題視され始めています。今後、住宅のスマートハウス化が急速に進んでいくことを考えると、こうした製品に関しては早めに規制を設けるなどの対応策が必要でしょう。

 モジュールだけでなく、パワーコンディショナーなど電気関連機器にも「点検などメンテナンスのことを考えて製品設計すべき」という発想が欠けています。

 パワーコンディショナーや接続箱の点検は、通常カバーを開けて特殊な計測器で端子や回路をひとつ1つ細かく計測していくのですが、一部のメーカーによっては、端子の部分が隠蔽されていて、非常に点検作業がしにくくなっているものがあります。こうした構造のパワーコンディショナーは、点検作業のために無理に配線を動かす必要があり、それによって感電やスパークなどの事故が発生する危険性が増します。

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