需要家側のエネルギーリソースを統合制御して、1つの発電所のように運用する「バーチャルパワープラント(VPP)」。トヨタ自動車と中部電力などの4社は、愛知県豊田市と共同でVPPの構築実証に取り組む。目指すのは市内にある再生可能エネルギーの地産地消だ。
豊田市は中部電力、デンソー、トヨタ自動車、トヨタタービンアンドシステムの4社と共同で、バーチャルパワープラント(VPP)の構築実証を行うと発表した。需要家側の蓄電池などを統合制御し、市内にある再生可能エネルギー電源の地産地消を目指す。
豊田市は2030年までに1990年比でCO2を30%削減するアクションプランを掲げ、地域の低炭素化に向けた取り組みを進めている。2016年10月には企業と共同で「豊田市つながる社会実証推進協議会」を発足。同協議会では取り組みの1つとして、市内にある資源・エネルギーの地産地消を掲げている。
今回4社と行う事業では、豊田市に設置されている風力、太陽光、バイオマスなどの再生可能エネルギー電源の出力増減に合わせて、電力需要を最適にコントロールしていく。具体的には、家庭や企業が保有するプラグインハイブリッド車(PHV)、ヒートポンプ給湯機、ビルや家庭に設置された蓄電池などをICTでつなぐ。これにより再生可能エネルギー電源の発電状況に応じ、PHVの充電時間や蓄電池の充放電を制御し、需給バランスを調整していく。再生可能エネルギー電源の電力供給量が需要を上回る場合は蓄電池に貯蔵する。反対に電力が不足する場合には蓄電池から放電を行い、需給調整を行う仕組みだ。
VPPの構築にあたり、親アグリゲーターとして需要側のエネルギーリソースの取りまとめ行うのは中部電力だ。そのもとで、PHVや一部のビルに設置された蓄電池などのエネルギー管理をトヨタ自動車とトヨタタービンアンドシステムが担当する。デンソーは中部電力と共同で、HEMSを通して施設の全館空調やヒートポンプ給湯器、エアコンなどの家電の制御を行う。
プロジェクトは2020年3月まで実施する計画で、豊田市と4社は新事業の創出につなげたい考え。また、VPPの構築とともに再生可能エネルギーの導入を拡大できる電力系統の実現を目指し、配電系統の電圧や、潮流を調整する手段としての蓄電池の有用性についても検証するとしている。
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