太陽光パネルの洗浄時期が分かる、CSSが分析サービスエネルギー管理

CSSは太陽光発電所の性能を自動的に診断する「Yield Vision」の有料プランとして、太陽光パネルの汚れによる損失額を明らかにし、適切な洗浄時期を予測するサービスの提供を開始した。

» 2017年06月13日 13時00分 公開
[長町基スマートジャパン]

定量化するのが難しい汚れによる損失額

 北海道札幌市に本社を置くCSSは2017年6月、太陽光パネルの汚れによる損失額を明らかにし、適切な洗浄時期を予測するサービスの提供を開始した。

 太陽光パネルの汚れは軽微なものであれば雨に流されることも多いが、年月の経過により固着し徐々に蓄積する。同社によると汚れを放置したことにより、実際に発電量が50%も低下した例もある。汚れの原因は砂埃や黄砂、花粉、排気ガス、屋根置きの場合は排気ダクトからの油汚れなど、発電所の環境によりさまざまで、傾向も発電所ごとに異なっている。ほとんどの発電所では、汚れの状況や洗浄による改善効果を定量的に把握できていないのが実情で、高いコストをかけて洗浄しても、タイミングを間違えると洗浄直後に汚れてしまい、全くの無駄に終わるというケースもみられるという。

 また発電量を低下させるのは汚れだけではなく、日陰や機器のトラブルなどの要因も考えられるため、汚れによる損失額を定量化することは難しいのが現状だ。

汚れた太陽光パネルのイメージ 出典:CSS

 同社は、太陽光発電所の性能を自動的に診断する無料サービス「Yield Vision」を提供している。これまで蓄積してきた発電所運営とフィールド研究のノウハウを活用して構築した自動化システムだ。Yield Visionを導入する発電所では、遠隔監視システムから取得した膨大なデータを自動解析したレポートが無料で配信される。汚れによって発電量が低下している状況や、長期的な視点で汚れの傾向の把握ができるとする。

 今回Yield Visionの新たな有料サービスとして、過去の発電量データから将来のパネル汚れの進行を予測し、その発電所に最適な洗浄時期を提案し、洗浄前後の効果を定量的に検証することが可能となった。過去のデータを分析することにより、発電所固有の傾向を把握し、将来の汚れと損失額を予測。予測に基づいて、最も費用対効果が高い洗浄タイミングを提案するので、発電所の収益を改善することに貢献するとした。

 Yield Visionの対象は、遠隔監視システムと日射計が導入されている太陽光発電所である。同社の担当者によると、これまでに進行中も含めて100件以上の導入実績があるという。有料プランの価格は「発電量やサイト規模によって異なる」と語った。

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