世界の空調・給湯器市場、日系メーカーの存在感が高まる省エネ機器(2/2 ページ)

» 2017年08月16日 07時00分 公開
[長町基スマートジャパン]
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 冷凍・冷蔵ショーケースは日本、北米、欧州はリプレースを中心として需要は成熟しているが、中国、東南アジア、ブラジルなどがけん引役となり、2018年には1兆円を突破し、それ以降も拡大を続ける。2025年には2016年比55.9%増の1兆3065億円にまで拡大しそうだ。中国の経済成長は鈍化しているものの、一般消費者の購買力は依然として強く、冷凍・冷蔵ショーケースを大量に設置する大型のスーパーマーケットやコンビニの出店が今後も続くとみられることや、出店地域も沿岸部から内陸部まで広がっていることもあり、需要拡大が予想される。インドや東南アジアは所得向上により家庭用冷蔵庫が普及し、冷蔵を必要とする食品や飲料を取り扱う小売店の増加もあり、中国以上に拡大が期待されるエリアだとみている。

 冷媒については2016年10月にルワンダ・キガリで開催されたモントリオール議定書の第28回締約国会合で、これまでオゾン破壊係数を基に設定されていた冷媒規制を、地球温暖化係数(GWP)を基に進めることが、先進国だけでなく途上国も含め全世界で合意された(キガリ改正)。特定フロン(CFC/HCFC)から代替フロン(HFC)への移行は進んでいるが、キガリ改正では現在使用される代替フロンの一部も規制対象となる。今後、HFCの中でもGWPの低い冷媒の採用や、HC・自然冷媒・ HFOなどの次世代冷媒への移行を見据えた開発が進むとみられる。

 エアコン分野では、2016年時点でRAC、PAC/VRF、GHP全ての品目で代替フロンのR410Aが主流である。日系メーカーのルームエアコンを中心に低GWPであるR32への切り替えが進んでおり、2025年にはR32の比率が半数を超えるとみられる。冷媒量の多いVRFやGHPでは、R32は微燃性を有することからまだ採用に至っておらず、R410Aの採用は今後も続くとみられる。なお、VRFとGHPは日系メーカーが高いシェアを有する市場でもあり、日系メーカーの動向によって今後の冷媒が左右されるとみられる。なお、エアコンやカーエアコンなどは既に次世代の冷媒がみえつつある一方で、チリングユニットやターボ冷凍機などのアプライド分野、冷凍・冷蔵ショーケースなどコールドチェーン分野は代替となる冷媒が定まっておらず、模索が続いている。

エアコン分野における採用冷媒の変化(クリックで拡大) 出典:富士経済
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