需要が広がる燃料電池、住友鉱山が電極用酸化ニッケル粉を量産へ:蓄電・発電機器
住友金属鉱山は今後の燃料電池需要の拡大を見越し、固体酸化物形燃料電池(SFOC)の電極材料に使う酸化ニッケル粉の量産化を目指す方針だ。2018年度中に愛媛県に量産化実証設備を導入する。
SOFC電極に利用される酸化ニッケル 出典:住友金属鉱山
住友金属鉱山は、このほど燃料電池の電極用高純度酸化ニッケル粉の量産化実証設備を導入すると発表した。燃料電池は水素と酸素を化学反応させて電気と熱を作り出すクリーンで高効率な発電システムとして認識されている。日本をはじめ、世界各国で住宅から店舗、工場用など幅広い用途の発電設備として導入と普及計画が策定されており、今後の市場成長が見込まれている。
燃料電池には複数の方式があるが、酸化ニッケル粉はその中で最も発電効率の高い固体酸化物形燃料電池(SOFC)の電極に使用される。同社ではSOFCの発電効率や耐久性の向上に寄与する、微細で高純度な酸化ニッケル粉の開発に注力してきた。今後、燃料電池の本格的な製品化に向け、酸化ニッケル粉の需要増加が見込まれることから、2018年度前半を目途に、愛媛県新居浜市内の同社保有地内に量産化実証設備を導入する。
既に同社は車載向け二次電池正極材料(ニッケル酸リチウム)の生産増強を実施している。今後、ニッケル原料の製錬から材料製造までの一貫した生産プロセスを保有する強みに加え、さまざまな機能性材料の開発、生産で培った粉体制御と量産技術を生かし、新たな市場ニーズに応えながら環境に優しいエネルギー社会の構築への貢献を目指すとしている。
蓄電できる燃料電池、リチウムよりも大容量・安価
イスラエルの企業が「鉄」を利用した蓄電池を開発した。「米テスラのリチウムイオン蓄電池Powerpackよりも安い」と主張する。同社が採用する技術はレドックスフロー。どのような蓄電池なのか、コストや技術の特徴を紹介する。
大成建設が国内初の燃料電池の導入実証、地域のエネルギーを最適化
大成建設は横浜市戸塚区にある同社の技術センターに、固体酸化物形燃料電池(SOFC)を導入する。燃料電池が生み出す電力と熱をセンター内の複数の建物に供給する。同時に複数の建物のエネルギーを一括管理できる新しいEMSを開発・導入し、エリア内の電力需給の最適化を図る。この取り組みで得られたデータと知見を活用し、建物への大型燃料電池の導入拡大に生かす方針だ。
電車も燃料電池で走る時代、ドイツで2018年に運行開始
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ミニストップが燃料電池を導入、京セラの業務用SOFCの効果を検証
コンビニエンスストアのミニストップは、千葉市の店舗に京セラ製の固体酸化物形燃料電池(SOFC)システムを実証導入し、省エネ性能などを検証する。エネルギー効率がよく、CO2排出量が少ないというメリットがある燃料電池。これまでは「エネファーム」などの家庭向けが中心だったが、業務用に店舗や施設へ導入する動きが進みつつある。
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