日本電気硝子は、結晶化ガラスを正極材に用いた全固体ナトリウムイオン二次電池を試作し、室温駆動に成功したと発表した。結晶化ガラスを正極材に用いた成功例としては、世界初になるという。
日本電気硝子は、結晶化ガラスを正極材に用いた全固体ナトリウムイオン二次電池を試作し、室温駆動に成功したと発表した。正極材に同社が開発した結晶化ガラスを活用し、結晶化ガラスを正極材に用いた成功例としては、世界初になるという。
高性能二次電池として主流のリチウムイオン電池は、電解質に可燃性の有機電解液を用いており、異常発熱や発火などの事例が多発しているため、安全性の高い二次電池が求められている。そこで、電解質に可燃物を利用しない全固体リチウムイオン二次電池に注目が集まっているが、電極と電解質間のイオン伝導性の改善と、レアメタルに分類されるリチウムの利用による供給不確実性が課題となっている。
導電イオン種にNa+を用いるナトリウムイオン二次電池は、リチウムと比較して資源量が多いため電池材料の供給面では有利となる。また、NAS電池などのナトリウム硫黄電池は、大型電力貯蔵用の蓄電池として既に実用化されているが、
ために電池を加熱する必要があり、電池が複雑、大型化している。そのため、電子機器に利用できる、小型かつ安全性の高い全固体ナトリウムイオン二次電池の開発が望まれていた。
特殊ガラスメーカーとして蓄積してきた技術を持つ同社は、ガラスの軟化流動性を利用し、電池の固体電解質と一体化を図ったNa系の結晶化ガラスを開発。この結晶化ガラスは高いイオン伝導性を持つことから、電池が室温で駆動可能になった。
電池に関する機構や結晶化ガラス構造の概要は、2017年11月14日から開催される第58回電池討論会で発表するという。今後は、正極材の結晶化ガラスの開発を進めていき、次世代の二次電池実現に向けて注力してしていくとする。
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全固体リチウム電池、発明者が狙う次の一手Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
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