北陸電力が石炭火力の廃止を延期、2024年度まで : エネルギー管理
北陸電力は「富山新港火力発電所」は石炭火力発電の廃止計画を延期。供給力の安定確保が理由で、当初の2018年度から、2024年度まで廃止を延期する。
北陸電力は富山新港火力発電所において、廃止を計画していた出力25万kWの石炭1号機(25万kW)について、廃止時期を2018年度から2024年度に延期すると発表した。
同社は富山新港火力発電所に、LNGを燃料とする高効率で環境負荷の少ないコンバインドサイクル発電設備の建設を進めている。2018年11月の発電開始を予定しており、それに伴い石炭1号機は2018年度に廃止する計画としていた。
新設するLNG火力の完成イメージ 出典:北陸電力
「富⼭新港⽕⼒発電所」の設備概要 出典:北陸電力
延期の理由は、原油を利用している発電設備において、使用している硫黄成分の少ない原油燃料の調達環境が不透明さを増しており、安定した供給力確保に向けた対応が必要になるためとしている。廃止時期は2024年度をめどとするが、火力発電所の燃料調達環境や原子力発電所の運転状況、再生可能エネルギーの導入状況などを見極め、需給状況が安定していることを確認し対応するとした。
なお、廃止時期の変更に伴い、石炭1号機について自主的な環境影響評価を実施し、環境保全の基準等に適合していることを確認。なお、LNG1号機は予定通り2018年11月に営業運転を開始する見込みだ。
中国とインドが悟る、石炭に魅力なし
全世界の石炭火力発電の状況をまとめた報告書「Boom and Bust 2017」は、計画段階から許認可、建設に至る世界的な動向に「乱流」が生じたことを指摘した。これまで増設に次ぐ増設を続けてきた中国とインドが方針を180度転換。OECD諸国と歩調を合わせた形だ。需給バランスや発電コストが主な要因だと指摘する。全世界で唯一、この流れに沿っていない国についても指摘した。
石炭火力「全廃」へ、英国・フランス・カナダ
フランス、英国、カナダが石炭火力発電を廃止する政策目標を発表した。フランスは2023年、英国は2025年、カナダは2030年を目標とする。なかでも具体的な政策の内容に踏み込んだのは英国だ。英国政府は、老朽化していない石炭火力発電所を全廃する方法について、2つの政策オプションを提示。コストやエネルギー保障の観点から、国民が判断できる形とした。
次世代の石炭火力発電が試運転、瀬戸内海の島で発電効率40%超を目指す
広島県の離島で2017年3月に開始する「石炭ガス化複合発電」の実証試験に向けて発電設備が試運転に入った。発電能力を商用レベルの16万6000kWまで引き上げて、発電効率40.5%を達成することが目標だ。CO2の排出量を削減しながら、従来の石炭火力と同等以下の発電コストに抑える。
二酸化炭素を出さない石炭火力、実現は間に合うか
石炭火力は低コストで安定的に運用できるため、大量に導入されている。より発電効率を高めつつ、これ以上の排出が許されない二酸化炭素を削減するための10年計画が進行中だ。残る5年で一気に実証試験を進めていく。
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