バイオガス発電で食品リサイクル、廃棄物が1500世帯分の電力に自然エネルギー

愛知県小牧市で市内の食品廃棄物を活用したバイオガス発電事業が進行中だ。地域の廃棄物を再生可能エネルギーとして有効活用するとともに、地域活性化への貢献も目指す。

» 2018年01月17日 11時00分 公開
[陰山遼将/長町基スマートジャパン]

 愛知県小牧市は、アーキアエナジー(東京都港区)およびバイオス小牧(小牧市)と、同市でのバイオガス発電施設の整備や食品リサイクル、再生可能エネルギーの利用促進に関する基本的事項について、協定を締結することに合意し、2017年12月20日に小牧市役所で締結式を行った。

 今回の協定は、三者が緊密な連携と協力を図り、再生可能エネルギーを利用したバイオガス発電施設を整備し、大量に発生する食品廃棄物の再資源化を促進することで、同市のごみ減量化および資源の有効利用を図ることを目的としている。

 アーキアエナジーは総工費約35億円をかけて、小牧市内でバイオガス発電所の建設を進めている。日量80トンの食品残渣(さ)を近隣および愛知県内から受け入れ、発酵させたガスを利用して発電し、中部電力に売電する計画だ。出力は1575kW(キロワット)を予定しており、一般家庭約1500世帯分に相当する年間773万kWh(キロワット時)の発電量を見込んでいる。発電開始は2019年夏を予定している。

 同社ではこうした原料収集から生産物の消費までを“地産地消”で行う、リサイクルと再生可能エネルギーを組み合わせた事業の全国展開に注力している。静岡県牧之原市でも同様のプロジェクトを行っている。これらの事業には公的な補助金は使わず、全額を地元の銀行や信用金庫などからプロジェクト・ファイナンス方式で調達している。さらに、発電所の土木建設工事や稼働後の運営も地元の事業者に発注するなど、地域活性化への貢献も目指しているのが特徴だ。

 締結式には、山下史守朗小牧市長をはじめ関係職員4人が出席。また、アーキアエナジーから植田徹也社長、バイオス小牧から多田純二社長をはじめ関係者6人が出席し、協定書を取り交わした。

締結式の様子。左から植田社長、山下市長、多田社長 出典:小牧市

 山下市長は、あいさつの中で世界的にも問題視されている食品ロスについて触れ、「両社の力を借りて取り組むことで、環境負荷を低減するとともに、食品残さを貴重な資源として再生利用し、循環型社会の構築に貢献していきたい」と述べた。

 また、両社を代表して、植田社長が「1日80トンの食品廃棄物を処理し、年間で一般家庭の約1500世帯分にあたる773万kWhの電力を発電するとともに、地元雇用の創出など、地元に貢献したい」とあいさつした。また、多田社長は「市内事業所の食品廃棄物を積極的に受け入れ、処理行程で生成される『消化液』を地元農家で利用してもらうなど、食品廃棄物を全て資源化し、循環型社会の形成を図るとともに、小中学生や地域の環境学習の場としていく考えだ」と述べた。

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