東京五輪の選手村に水素でエネルギー供給、都が基本協定:電力供給サービス
東京都は2020年の東京五輪の選手村に、水素を活用したエネルギー供給を行う事業者として、東京ガスや東芝、パナソニックなどと基本協定を締結した。
東京ガスと同社100%出資子会社の晴海エコエネルギー(東京都港区)は、JXTGエネルギー、東芝、東芝エネルギーシステムズ、パナソニックと共に東京都と「選手村地区エネルギー事業」に関する基本協定をこのほど締結したと発表した。
同事業は、東京都が2017年3月に策定した「選手村地区エネルギー整備計画」を実現するためのものであり、今回の協定は、同事業における街区向け水素供給事業と車両向け水素供給事業に関する基本的合意事項について定めている。
東京ガスを代表者とする企業グループは、東京都が公募型プロポーザル方式(複数の者に目的物に対する企画を提案してもらい、その中から優れた提案を行った者を選定する方式)で実施した同事業の事業者募集に応募し、2017年9月に事業予定者に選定された。協定締結後、民間企業6社は「事業者(事業の実施者)」として、東京都と連携して同事業を推進する。
東京五輪の選手村におけるエネルギー供給事業のイメージ 出典:東京ガス
各企業の役割は、東京ガスが事業者構成企業間の業務調整などを行う。晴海エコエネルギーは水素パイプラインの整備、街区への水素供給を担当。JXTGエネルギーは水素ステーションの整備、車両への水素供給を実施する。東芝、東芝エネルギーシステムズ、パナソニックの3社は純水素型燃料電池の開発に取り組む。
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