NTNはインホイールモーターの駆動システムと車両制御技術に関し、中国の新興自動車メーカー長春富晟汽車創新技術(FSAT)とライセンス契約を締結した。FASTは2019年から量産を開始する計画だ。
NTNは2018年4月19日、インホイールモーター(IWM)駆動システムと車両制御技術に関して、中国の新興自動車メーカー長春富晟汽車創新技術(FSAT)とライセンス契約を締結したと発表した。NTNが技術支援し、FSATはIWM駆動システムを搭載した軽量化新エネルギー車(新エネ車)を量産する。この新エネ車には、CFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics)製ボディーとアルミ鋳造製シャシーを採用したFSAT社の軽量化技術と、IWM駆動システムおよび、車両運動制御技術が搭載される。
現在、電気自動車(EV)の主駆動方式は、エンジン部位に大型電動モータを搭載した1モータ駆動方式。NTNによると、これまでインホイールモーターを搭載した量産EVはないという。NTNは、2003年から次世代EV用にIWM駆動システムの研究開発に着手し、実証実験などを経て、軽量化、小型化に向けた改良を行ってきた。
今回、新エネ車に搭載されるIWM駆動システムは、前輪駆動車に多く採用されるマクファーソンストラット方式サスペンションのレイアウトでの組み付けが可能。既存の基本レイアウトに対応するため、エンジン車のサスペンション部品などを利用でき、新規設計を必要としないメリットがある。減速機の採用によりコンパクト化と軽量化を実現し、併せて空冷式を採用することで構造の簡素化を図っている。
ヨーモーメント(車両が旋回しようとする力)を制御する独自の車両運動制御技術「i2-Drive System」は、各駆動輪のトルクを直接コントロールし、左右輪に駆動力差を生じさせ、発生したヨーモーメントを制御する。ドライバーのハンドル操作に合わせ、付与するヨーモーメントが旋回性能を向上させる。さらに、各種センサーで車両挙動を検知し、車両姿勢が不安定になった場合にも、アシストし、安定性を維持する。各輪独立の駆動力コントロールによるトラクション制御や回生ブレーキを利用したABS制御も実現できる。
新エネ車は2019年に量産開始し、2023年には年間30万台の量産が予定されている。5ドア5座席3ボックスの乗用車で、整備重量は1300kg(キログラム)、最高車速150km/h(キロメートル毎時)、航続距離は450km(キロメートル)としている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.