ソーラーシェアリング普及へ規制緩和、農地転用期間を10年に自然エネルギー

農林水産省は営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)の普及促進に向けて、農地の転用許可に関するルールを緩和した。一部の条件を満たす場合に限り、一時転用期間を3年から10年に延長する。

» 2018年05月17日 07時00分 公開
[陰山遼将スマートジャパン]
営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)の例 出典:農林水産省

 太陽光発電事業と農業を両立する方法として注目されている営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)。農林水産省は2018年5月15日、ソーラーシェアリングの普及促進に向けて農地転用許可制度の取り扱いを見直すと発表した。条件付きで、農地の一時転用期間を3年から10年に広げる。同日付けて施行した。

 従来、農地は法律で農業以外の用途に使うことができなかった。しかし2013年3月に農林水産省が指針を発表し、営農を継続するなどの条件を満たせば、太陽光パネル用の支柱を立てる農地について、一時的に転用認められた。ただし転用期間は3年以内で、以降は営農に問題が無ければ再許可するという仕組みだった。

 今回の一時転用に関する規制緩和では、この転用期間を一定の条件を満たす場合に限り、3年から10年に延長する。延長の条件は、

  • 担い手が所有している農地または利用権などを設定している農地で、当該担い手が下部農地で営農を行う場合
  • 農用地区域内を含め荒廃農地を活用する場合
  • 農用地区域以外の第2種農地または第3種農地を活用する場合

の3点で、それ以外は3年となる。この他、農作物の生育に適した日射量の確保や、2メートル以上の支柱高さを確保することなど、従来の転用許可の要件もクリアする必要がある。手続きなどに関する問い合わせ先は、地方農政局の農山漁村再生可能エネルギー相談窓口となる。

 農林水産省はこれまでにソーラーシェアリングを目的として農地転用を認めた775件に対し実態調査を行った。その結果、下部農地での営農への支障があった事例の発生割合は、担い手が営農するものは6%だったのに対し、担い手以外が営農する場合は31%に高まったという。また、荒廃農地を活用して太陽光発電設備を設置した例は、全体の約30%だった。こうした結果を受け、今回10年の転用期間を適用できる条件として、「担い手による営農」や「荒廃地の活用」などを盛り込んだ。

国内における営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)の状況 出典:農林水産省

 なお、農林水産省は同省のWebサイト上で、国内のソーラーシェアリングの優良事例や、事業を開始するために必要な営農計画、発電事業などに関するチェックリストなどの公表も開始している。

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