服に貼れる太陽電池、基板に三井化学の透明材料を採用蓄電・発電機器

理化学研究所などが開発した服に熱で接着できる有機太陽電池の基板に、三井化学の透明ポリイミド用液状材料が採用。布地に接着できるなど、有機太陽電池のユニークな特徴の実現を可能にしたという。

» 2018年06月05日 09時00分 公開
[長町基スマートジャパン]

 三井化学は2018年5月、同社の透明ポリイミド用液状材料「エクリオス」が、理化学研究所、東レ、科学技術振興機構などのメンバーで構成する共同研究グループが開発した超薄型有機太陽電池に採用されたと発表した。

理研などが開発出典:三井化学

 エクリオスは、耐熱性、耐薬品性、強じん性、寸法安定性に優れた無色・透明なポリイミド用液材状材料(ポリアミド酸ワニス)で、ガラス代替の耐熱基材、フレキシブル回路基板、バインダーなど次世代エレクトロニクス関連製品への展開が期待されている。

 近年、IoT化の進展に伴い、ウェアラブルセンサーおよび電子デバイスのニーズが顕在化している。これまでもウェアラブル対応の電源の1つとして、薄型の有機太陽電池の開発が進んでいたが十分なエネルギー変換効率と耐熱性が両立できず、高温下での駆動や熱を伴う加工に難点があった。

 エクリオスは有機太陽電池の基板層に使用されており、表面平たん性と熱安定性を高めることで、開発品の超薄型化(デバイスの厚み3マイクロメートル)と耐熱性(100℃)の実現に大きく貢献するという。さらにこの有機太陽電池の大きな特徴である性能劣化なく布地への接着が可能という点や、透明性と柔軟性の実現などは、エクリオスのフレキシブル性が生かされたものとしている。

 三井化学では今回の採用を機に、エクリオスの次世代エレクトロニクス関連製品のほか、多様な用途への展開を進めていく方針だ。

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