日ごろよく問い合わせをいただくのは、「調査」「判断」「予防」ステージの情報が全くない状態で、いきなり「防除」のステージで雑草対策を行いたいというものです。具体的な問合せ事例の一部を以下にあげますが、やむを得ない事後の対処法や、どうすることもできないことを求められる場合が多いのが実情です。
残念ながら、これらは今後発生するリスクに対し、根本的な問題解決のための「調査」「判断」「予防」まで検討されていないのが現状です。もう少し早く検討しておけば、このようなトラブルは発生しなかった――と、感じる事例が多いのが実情です。太陽光発電所版IPMの「調査」「判断」「予防」が整っていないために、雑草対策に無駄な費用と時間が発生し、結果として太陽光発電事業の運営費や近隣に悪影響を及ぼしている状況が残念でなりません。
先ほど紹介した問い合わせ内容を例に、太陽光発電所版IPMの「調査」「判断」「予防」のいずれが必要か、そして、その際に検討すべき内容をまとめてみました。早めに検討することや、失敗から学ぶことの重要性がご理解いただけるかと思います。
次回は今回紹介した「太陽光発電所版IPM」を踏まえて、雑草の最適な防除方法のポイントについて解説します。
増田幹弘(マスダ ミキヒロ)
野原ホールディングス株式会社 経営企画部 再生エネルギープロジェクト室長
太陽光発電アドバイザー、緑の安全管理士、「東京都農薬指導管理士」
大阪出身、近畿大学卒業。1999年、私費にて参加したエコに関する研究会にて、電気を庭に取り付けた太陽光発電と自動車の大型バッテリーから、給湯は太陽熱を利用するなどの、今でいうゼロエネルギー住宅(奈良県)を視察し感銘を受ける。自宅をオール電化にし屋根には発電システムを取り付け、自宅エネルギー消費データを2年間記録、上記研究会にて発表。その後も省エネ、省資源についての研究を深め、建材の開発、リサイクルシステム、工場のエネルギー消費削減に大きく貢献。
2009年、野原産業(現 野原ホールディングス)に入社。2013年、事業開発部において八ヶ岳研修所の遊休地活用事業として太陽光発電プロジェクトを主幹。現在は、太陽光発電に関わる新事業として、第三者の視点からの太陽光発電設備の保守・点検(O&M)サービス「SUNSUN GUARD 20」を展開。豊富な知識と多様な事例、経験から、太陽光発電事業者向けセミナーにて講師も務める。≫
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