EVの蓄電池からレアメタル回収、三菱マテリアルが技術開発電気自動車

三菱マテリアルは、今後需要拡大が見込まれる電気自動車(EV)の蓄電池から、コバルトやニッケルなどのレアメタルを回収する技術の開発に着手する。

» 2018年08月28日 09時00分 公開
[スマートジャパン]

 三菱マテリアルは、日本磁力選鉱(北九州市)とともに、今後リサイクル需要の大幅な増加が見込まれるxEV(電動車両の総称、ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車、電気自動車などが含まれる)用リチウムイオン電池などに含まれる、コバルト、ニッケルリなどのサイクル技術を共同開発する。

 ハイブリッドを含む自動車のEV化によるリチウムイオン電池需要は今後ますます拡大すると考えられる一方、主要な電池材料であるコバルトなどのレアメタルは供給不足が懸念されている。そのため、両社は、経済産業省や環境省による実証事業を通じて、使用済みリチウムイオン電池の放電、解体、熱分解、輸送などに関するリチウムイオン電池リサイクルの研究開発に共同で取り組んできた。

 今回、これまでの実証事業での成果をもとに、三菱マテリアルのレアメタル湿式精錬技術も活用し、リチウムイオン電池リサイクルの早期事業化に向けた総合的な技術の開発に取り組むこととなった。使用済みxEVに搭載されたリチウムイオン電池、および電池メーカーで発生する工程内不良品などを安全かつ適正に処理し、コバルト、ニッケルなどを高効率に回収する総合的なリサイクル技術を確立する。それにより、リチウムイオン電池材料の安定供給とそのリサイクルシステムの構築を進める。

 両社は、三菱マテリアルが開発したリチウムイオン電池の活物質からコバルト、ニッケルを回収する精製装置を日本磁力選鉱ひびき工場(北九州市)の敷地内に設置する予定だ。今後、熱分解からコバルト、ニッケル回収までを実施するリチウムイオン電池リサイクル設備を今年度内に稼働して実証試験を開始し、事業化に向けた同設備の技術的検証とその結果に基づく改良技術の共同開発を推進する。

コバルト・ニッケル精製装置 出典:三菱マテリアル

 三菱マテリアルは、2018年4月に新設したEV材料開発・リサイクル推進部で、自動車のEV化に対応した新製品・新事業の創出に取り組んでいる。こうしたリチウムイオン電池のリサイクル技術開発を通じて、さらなる循環型社会の実現に貢献することを目指す。

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