京浜急行バスが民間事業者として始めて燃料電池バスの導入を決めた。2019年春からお台場地区で運行を開始する。
京急グループの京浜急行バス(東京都港区)は2018年9月、トヨタ自動車の燃料電池バス「SORA」の導入を決め、2019年春からお台場地区(東京都港区、品川区、江東区)で運行を開始すると発表した。民間事業者が燃料電池バスを導入するのは国内初という。
導入する営業所は京浜急行バス大森営業所で、運行路線は船の科学館線を予定しており、JR大森駅から東京港トンネルを経由し、お台場地区(フジテレビ前、台場駅前、東京テレポート駅、船の科学館前など)を運行する。
今回導入する燃料電池バスSORAは、トヨタ自動車が2018年3月から販売を開始した。定員は79人で、燃料電池自動車「MIRAI」向けに開発した「トヨタフューエルセルシステム」を搭載しており、10本のタンクに合計約600リットルの水素を貯蔵できる。現在、バス車両で燃料として多く用いられている軽油ではなく、水素と空気中の酸素の化学反応で発電した電気を動力とするため、走行時に二酸化炭素や環境負荷物質を排出しない。
バッテリーも搭載しており、非常時には最高出力9kW(キロワット)、供給電力量235kWh(キロワット時)の範囲で外部に電力供給も行える。この他、環境性能面以外でもユニバーサルデザインの導入や、停車時に運転手に周囲の歩行者・自転車など動体がいる場合に音と画像で知らせる「視界支援カメラシステム」、車内での転倒事故の要因になる急加速を抑制する加速制御機能などを搭載している。
京浜急行バスではこれまでもハイブリッドバスや排出ガス規制対応車といった環境負荷の低いバスの導入を行ってきた。今回、初導入となる燃料電池バスについて実際の路線バスでの運用を通じて性能や利便性を検証し、2台目以降の採用を検討するとしている。
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